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World of Tanksの未来を語る ウォーゲーミング開発者インタビュー

2017年07月31日 18時30分更新

文● 南田ゴウ/ASCII編集部

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 オンラインタンクバトル「World of Tanks」(WoT)などを提供するウォーゲーミングのベラルーシ・ミンスク開発拠点での開発首脳陣のインタビューをお届けする。5月の大規模アップデート、9.18でマッチメイキングシステムの刷新やTier10軽戦車の導入、SPG(自走砲)へのスタン効果追加などシステムに大幅な変更が加えられたWoT。回答にはWoTは今後どう変わっていくのかのヒントがあるかもしれない。

WoTパブリッシングプロデューサーインタビュー
「我々はすばらしいゲームをつくる。楽しんでほしい」

World of TanksパブリッシングマネージャーのArtem Safronov氏(左)とパブリッシングプロダクトマネージャーのOlga Fadeeva氏(右)

 World of TanksのパブリッシングマネージャーArtem Safronov氏は、まず最初にランク戦で入手できる新たなゲーム内通貨、ボンズに関して「ランク戦以外でどう手に入るようにするかを考えている。10月に大きな発表があるので楽しみにしてほしい」と語る。ボンズは通常のクレジットで購入できるものよりいいアイテムを購入できるが、このアイテムの影響に関して「一方的に優位になると危惧するユーザーもいると思うが、戦況にインパクトを与えるものではない。ただし少し性能はいいので、不公平感が出る可能性に関してはベータテストで問題点を探っていく」とコメント。

 10月の大きな発表に関しては「まだネタバレはできないが、ゲーム内のアクティビティーを用意している。これはフロントラインとは別」とのことだ。

 今後WoTに追加される要素やゲームシステムの刷新に関しては、「我々が重視しているのはほぼ全体のユーザーが楽しめるもの。ランク戦やフロントラインはユーザーを声を反映したものだ」(Safronov氏)。

 WoTのアップデート優先度に関して、パブリッシングプロダクトマネージャーのOlga Fadeeva氏は「ランク戦が最重要」と語る。また、全体を考えるとバランス調整も優先項目。その理由に関して「車両もマップもユーザーの意見がもっとも多く出るポイント。最大母数のユーザーが損をしないようにする。しかし、見えないところや聞こえないところからも重要なものが出てくるので、ユーザーへの質問という形で情報を集めている」とのこと。

 日本のユーザーの印象に関して、Safronov氏は「日本のプレイヤーはフォーラムで議論するよりもゲームに没頭する方が多い。つまり、イベントの際はゲームに没頭する日本のプレイヤーが上位にくることが多い」とコメント。「我々はすばらしいゲームをつくるのでみなさんも楽しんでほしい」と結んだ。

WoTサウンドプロデューサーインタビュー
「我々のプロダクトはトリプルA。音楽もトリプルAのものを提供する」

 続いてWoTのオーディオ、チームリードプロデューサー・コンポーザーのAleksey Tomanov氏のインタビューをお届けする。BGMだけでなく砲撃音やエンジン音などのエフェクトが飛び交うWoTの戦場で、どう音をデザインしていくかのアイデアに迫った。

WoTのオーディオ、チームリードプロデューサー・コンポーザーのAleksey Tomanov氏

 Tomanov氏はWoTのBGMのテーマに関して「WoTらしさを出すにはテクニックがある。パーカッションにWoTらしさを出す要素を追加し、ドラムの音を履帯の音にしたりゲーム中マップのエンスクでは鉄道の音で表現している。これらでWoTらしさを実現している」と語る。さらに音楽そのものに爆発音や砲撃音などを入れているとのこと。

 作品全体を印象づける音楽自体のレギュレーションに関しては「テンポに関してはルールがある。戦闘曲を90BPM以下にしてはいけない」とコメント。その理由に関しては「90以下のテンポではプレイヤーがリラックスしてしまう。また、オーケストラのトラックを利用する際はブラス楽器を利用すること。メタリックな音は緊張感をもたらしWoTを表現するのに向いている」と語った。

社内の複数のスタジオでサウンド作業が進行していた

 ゲーム内ではマップや車両のHD化が進んでいるが、音楽関連に関してもHD化が進む。Tomanov氏は「我々はビジュアルチームと協業している。どちらも強化されないといけない。これからはビジュアルコンポーネントに加えてサウンドコンポーネントも協業しながら追加している」と語る。

 バランスに関しては先述のとおり多数のエフェクトが飛び交うゲーム内環境であることを前提に、「ゲーム内の音を調整する際はアーティステックコンポーネントと情報系コンポーネントの2つに分けて考えている。戦闘開始時は砲撃音がないのでアーティスティック面を強化、戦闘開始の際は情報系コンポーネントのサウンドを大きくするように調整する」と細かい調整を行なっている。さらに構成音に関しては「我々が特によく使うのはピンクノイズ。人の耳に反応がいい音を多く入れるようにしている」とコメント。

 BGMだけでは成立しない特殊なゲームシステムだからこそ、バランスが重要とTomanov氏は力説する。「戦車には非常にうるさいしきしみ音がある。これらの音をゲームで長時間聞くとプレイヤーへの負担が大きいので、バランスを取ることを考えている。また、爆発音もノートPCやヘッドフォンで聞くと本物の爆発音では迫力ある音にならなかったりする。そこで調整が重要となる」

 Tomanov氏が自信作だと推すBGMは「ヒメルズドルフかマリノフカ。どういったところがいいというのは難しいが、メロディーのテーマがすばらしいと考えている。よく聞いてみてほしい」とのこと。また「いつか日本に行って日本の戦車の音を収録したい」と語りつつ、ユーザーへは「我々のプロダクトはトリプルA。だから音楽もトリプルAのものを提供していく」の自信を見せた。

WoT Blitzゲームリード、プログラムマネージャーインタビュー
「WoT BlitzがPC版WoTといっしょになることはない」

 最後にモバイル版WoT「World of Tanks Blitz」(以下Blitz)ゲームデザインチームリードのStepan Drozd氏とプログラムマネージャー、Stanislav Patskevich氏のインタビューをお届けする。近年ではゲームをとりまく環境の変化によりコンソール版やPC版ゲームのシリーズ最新作がモバイル版に移行するタイトルが多いが、Drozd氏は「将来的にPC版といっしょになることは絶対にない」と語る。

World of Tanks BlitzゲームデザインチームリードのStepan Drozd氏(中央)とプログラムマネージャーのStanislav Patskevich氏(右)、マーケティングプロダクトマネージャーのArina Lozyuk氏(左)

 Drozd氏は「BlitzはよりコンペティブでPC版はランダム戦に特化している。Blitzは競い合うことが中心。いっしょになるのは車両などの要素で今後はそれが増えていくと思うが、両者のプレイ人数やマップは全然違う。市場で競合することはないと思う」「BlitzPC版より展開が高速でオリジナル車両もある。PC版は歴史に沿った車両が中心と客層が異なる。コカコーラとコカコーラ・ライトのようにゲームは同じジャンルだが購買層が違う」と両者の違いと方向性に関してコメントした。

 Blitzの新展開に関しては「ランク戦やリーダーボード(ランキング)など競争性の高いコンテンツを追加していく。最近ではガルパン関係などゲーム内イベントを開催しており、特定のミッションを達成するとアイテムを入手できる」

 Blitzの開発環境に関しては、基本部分がミンスクで開発されており、初期段階ではBlitz用のゲームサーバーもPC用WoTのものを使用していたとのこと。さらにDrozd氏は「PC版はロシアのユーザーが多いが、Blitzはヨーロッパやアジア圏にWoTを広めるために開発した」とBlitzの狙いを語る。

 現状のBlitzのユーザー層では「もっとも多いのはロシア、さらにAPACユーザーも多く非常にフレンドリー」「昨年の世界大会はロシアとAPACチーム間の戦いだった。アジア圏のチームはロシアのチームと戦えるほど強い」とコメント。特に、初期段階ではWoTの基礎知識をもつPC版WoTユーザー(特にロシア圏)が強かったが、基礎知識をもたないアジア圏から強豪が出てきたことは多様性の証明だと語った。


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