OCはどこまで耐えられる?
UEFIのOC設定でお手軽クロックアップを試してみる
水冷クーラーの冷却性能が十分だということがわかると、もう少し欲が出てきてしまう。つまり、OCでさらなる性能向上が狙えるのではないか、ということだ。X299チップセットを搭載したマザーボードは基本的にハイエンド仕様となるため、このOC設定が簡単に行えるものが多い。
今回試した「G-Master Hydro-X299」に搭載されていた「MSI X299 GAMING PRO CARBON AC」もそういったマザーボードのひとつで、UEFIのメニューに「OC」というそのものズバリのメニューが用意されていた。本来であればコア電圧やメモリーの速度までいじってこそのOCなのだが、今回は手軽に、CPUの動作倍率のみ変更してのチャレンジとした。それ以外の項目は変更していないが、UEFIの設定で自動調整されるものに関してはそのままとしている。
少しずつアップしてみるが、4.5GHzまで難なくクリアー
実用範囲は4.6GHzがギリギリか
いきなり高クロック設定にして動かなくなるのが怖いので、ターボブースト時のクロックとなる4.3GHzから試してみたところ、拍子抜けするくらいあっけなく動作。動作確認として「CINEBENCH R15」が完走し、妥当なスコアになるかまで確認してみたが、特に問題はなさそうだった。
そこで調子に乗って、今度はTBM3.0の最大となる4.5GHzに設定してみた。基本的に2コアまでの最大クロックとして設定されているTBM3.0の速度だけに、さすがに常時全コアを4.5GHzで動かすというのは難しいと考えていたのだが、予想に反して「CINEBENCH R15」が完走。スコアーもしっかりと伸びて、1993cbになっていた。
どうせなら2000cbオーバーのスコアーが見たいと思い、4.6GHzに挑戦。初回だけはブルースクリーンとなって落ちてしまったが、一度CMOS設定をクリアしてから再度設定してみたところ、今度は問題なく起動した。そのまま「CINEBENCH R15」を動かしてみたところ、見事に完走。スコアも2011cbと見事2000を突破してくれた。
さらに「3DMark」でも性能をチェックしてみたところ、CINEBENCH R15ほどではないがスコアーが伸びていた。さらに詳細を見てみると、Fire StrikeではPhysics scoreとCombined scoreが1割以上、Time SpyではCPU scoreが5%ほど上昇していた。OCによる高速化は確実にできているようだ。
ただし、さすがに一度ブルースクリーンになっただけあって動作は厳しいようだ。CPU-Zの「Stress CPU」機能を使ってCPUの温度をチェックしてみたところ、最大で108℃まで上昇してしまっていた。また、動作クロックも4.6GHzより低くなっていることもあり、温度的にも厳しい。どうやら単純な倍率設定だけでは4.6GHzが限界のようだ。
ちなみにCPUのコア電圧がいくつなのかチェックしてみたところ、UEFIの設定で自動的に上がっていたようで、1.27V前後まで上昇していたようだ。標準では1.08V前後だったことを考えると、これだけ温度が高くなっているのも仕方がない。ここから安定動作を狙うならCPUクーラーの冷却性能を高めるか、コア電圧を下げて設定を詰めていくしかないだろう。
設定だけなら5GHzで起動するも速度は遅い
さすがに安定動作は無理だとしても、一瞬でもOSが起動する上限はどこかを探ってみるため、さらなるOCにチャレンジしてみたところ、なんと、5GHz設定でも起動してしまった。
ただし、起動はしたもののコア電圧は1.467Vと非常に高く設定されており、常用は厳しそうだ。試しに「CINEBENTI R15」を動かしてみたが、一応は完走するもののスコアーは1878cbと大きくダウン。5GHzでの動作ができず、早々にクロックが落とされてしまっていたようだ。
とはいえ起動したのは事実だし、シングルコアならスコアーがアップしているのもまた事実。個体差はあるだろうが、Core i7-7820XはかなりOCが楽しめるCPUのようだ。