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世代を超えた人々が集う“長屋”発想のシェアオフィス

2014年04月10日 06時00分更新

文● 筒井健二(ダイヤモンド・オンライン

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 業種・職種を問わず、一つ屋根の下で仕事空間を共有するシェアオフィス。フリーランスやノマド、コワーキングといった働き方の多様性を背景として、都市部を中心に増加している。

世代や国籍、業種を超えた利用者が集うシェアオフィス「NAGAYA AOYAMA」。月1回開催している『NAGAYAご飯』や『NAGAYA CAFE』などの交流会も好評だ

 ひと言でシェアオフィスといっても、タイプによってコストや立地、利用形態が異なる。利用者が専用の個室を確保する「専用型」、オープンスペースを会員同士で利用する「共有型」、さらには「ビジネスサポート型」や「インキュベーション型」など、利用目的に則した機能性の高さを打ち出すシェアオフィスもある。

 2012年12月にオープンした「NAGAYA AOYAMA」は、シェアオフィスの会員同士でアイデアを交換したり、刺激し合える環境作りを目指した、多世代型シェアオフィスだ。“NAGAYA”と名付けたのは、江戸時代の長屋のように会員が井戸端会議に花を咲かせ、お互いの“ちょっとしたおせっかい”をビジネスの種にしてほしいという想いから。NAGAYA PROJECT代表で、同オフィスマネージャーの田口歩さんにお話を伺った。

利用者の年齢は20~70代
業種も多岐にわたる”長屋暮らし”

「シェアオフィスというと、“30代・40代のクリエイティブ系”といったように同世代・同業種で集まるイメージがあるかもしれませんが、SNSの普及などによって幅広い年齢層の方にもその存在を知っていただけるようになりました。シェアオフィスを利用するメリットの一つに“多業種・他業種の人との出会い”があります。それを横軸とすれば多世代は縦軸。私たちが生きるこの時代を多角的にとらえ、世代を超えて得られる知識や経験をビジネスに活かしていただきたいとの思いを込めて、『長屋』をコンセプトに掲げたのです」(田口さん)

 自由に場所を使える「オープンスペース」と、全29室の専用ブースからなる「オフィスエリア」を合わせ、利用者は100名を超える。年齢層は20~72歳と実に幅広い。職種も公認会計士、グラフィックデザイナー、留学斡旋業にITエンジニアなど多岐にわたっており、みな“長屋暮らし”を楽しんでいるようだ。

「独立・起業後にオフィスとして借りる方や、起業準備期間にご利用される方など、用途や目的もさまざまです。契約内容によって異なりますが、基本的には24時間利用可能。住所登録や郵便物の転送、法人登記にも対応しています」(田口さん)

あるものを分けるのではなく
少しずつ持ち寄ることが本当の「シェア」

 NAGAYA AOYAMAのコンセプトづくりは、田口さん自身の経験がベースとなっている。幼少期に過ごした社宅での生活、留学中のルームシェア、そして6年前から暮らしている多世代共同住宅・コレクティブハウス──規模の大小はあるが、コミュニティの中で暮らす経験から多くのことを学んだという。

完全個室・半個室など、月額4.9万円から選べる専用ブースは全29室

「世代の異なる年長者や子どもたちとただ会話するだけでもさまざまな価値観に触れられ、自分の中の視野が広がるのを実感してきました。特に高齢化が進む中、定年退職された団塊世代や定年後または早期退職して起業する方が培われてきた“知”は素晴らしい財産だと思います。知識や経験、人脈を若い世代に伝えていただき、それらを活用して新たな事業が生まれるなど、NAGAYA AOYAMAをきっかけとして相互扶助の関係性が実現できたらうれしいですね。空間や物質を切り分けて活用することではなく、一人ひとりが知恵や経験を少しずつ持ち寄ることが“シェア”の本質だと思います」(田口さん)

 分配するのではなく持ち寄ること──「シェア」に対するこうした考え方にこそ、世代や職種という垣根を越えるヒントがあるのかもしれない。

(筒井健二/5時から作家塾(R)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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