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COMPUTEX TAIPEI 2017レポート 第29回

Windows機へのeSIM搭載により、世界中で常時接続ができる「Always Connected PC」構想が登場

2017年06月02日 16時30分更新

文● 中山 智 編集● ASCII編集部

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 マイクロソフトは5月31日、COMPUTEX TAIPEI 2017で基調講演を開催。マイクロソフトのマーケティング担当執行役員マット・バルロー氏が登壇し、同社の最新の取り組みについてプレゼンが行なわれた。

マイクロソフトの最新の取り組みついて解説するマーケティング担当執行役員マット・バルロー氏

 基調講演の内容は、Windows Mixed RealityやCortana speakerといったここ最近マイクロソフトが注力している分野を取り上げる一方、新たな戦略として「Always Connected PC」という構想が発表された。

基調講演で新しく発表された「Always Connected PC」構想

 Always Connected PCは、PCにLTE通信機能を搭載して、常時接続を実現するというもの。これだけなら、すでにSIMスロットを装備しLTE通信が可能なPCはいくつもリリースされているので目新しさは感じない。しかし、Always Connected PCでは、組み込み型のeSIMを使用するのがポイント。eSIMを使ったデバイスというと、アップルの「iPad Pro」があるが、Always Connected PCも運用方法などはそれに近いイメージだ。

iPad ProにはすでにeSIMが搭載されており、モバイル通信のプランが単体で購入可能

 基調講演のあとに記者会見も行なわれ、Always Connected PCについてさらに詳しい内容が伝えられた。グーグルの「Project Fi」のように、ワールドワイドで使えるSIMやサービスをマイクロソフトが提供するのではなく、各国の通信キャリアと提携して、その国に行ったときに、データ通信プランを購入して対応する形式になるとのこと。

LTEでの常時接続がAlways Connected PCの重要なポイント

 基調講演では、AT&TやT-Mobileなどの海外通信キャリアや、ワールドワイドでサービスを提供しているMVNOのGigSkyなどがパートナー企業として発表されており、日本のキャリアとしてKDDIの名前もあがっていた。

Always Connected PCのパートナー企業として名前の挙がった通信キャリア

 この件についてKDDIに問い合わせたところ「Windows StoreからLTE回線の開通ができるスキームを提供する予定だが、時期は未定」とのこと。やはり、iPad Proのように各国のプランを単体で契約でき、SIMの内容を書き換えて通信できるシステムが採用されるようだ。

KDDI(au)はAppleのeSIM(Apple SIM)にも以前から対応している

 また対応するPCを開発するメーカーとして、HPやASUS、レノボといった海外PCメーカーとともに、国内メーカーのVAIOも発表されている。

 VAIOにもAlways Connected PCについて確認したところ「マイクロソフトの考えに賛同して、開発などを進めていく予定」との回答。VAIOはSIMスロット搭載モデルをリリースしている経験もあり、Always Connected PC対応モデルが発売される可能性は高そうだ。ただし「現時点で具体的に発表できることはまだない」とのことなので、どのようなモデルが、いつ頃リリースされるのかといった詳細が明らかになるのはしばらく先のようだ。

Always Connected PCのパートナーにはVAIOの名前も

 Always Connected PCの発表にあわせて、昨年12月にWinHECで発表されたSnapdragon 835で動作するARM版Windows 10についても解説。バルロー氏によると「Snapdragon搭載のPCは、すべてAlways Connected PC対応になる」と説明。つまりこちらもeSIMを搭載した仕様となるわけだ。またSnapdragon 835搭載のWindows 10を開発するメーカーも発表され、HP、レノボ、ASUSの3社から最初に製品が発売されることになる。

Snapdragon 835搭載のWindows PCはHP、レノボ、ASUSからまず発売される

 個人的には現在iPad Proを使用しており、欧州などeSIM(Apple SIM)の対応国に行ったときには、キャリアショップなどでSIMを買う手間が省け手軽にLTEのデータ通信が利用できるので重宝している。PCも同じようになればウレシイと思う反面、これまでLTEに対応したPCでも、その多くは国内向けに特化しているせいか、対応するLTEバンドの数が少なく、ワールドワイドで使うには物足りなさを感じている。このあたりの問題も解決して本当に世界中で常時接続可能な「Always Connected PC」の登場に期待したい。

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