HTCの日本法人は5月18日、Snapdragon 835搭載の最新フラグシップスマートフォン「HTC U11」を披露するイベントを都内で開催しました。
このイベントは、台湾で発表したばかりのグローバル端末をHTCファン向けに先行公開したもの。イベント後には報道関係者にも端末が公開されましたが、同社は日本での端末展開の中心にあくまで「HTCファン」を据える構えです。
滑らかな3Dガラスと複雑な色合いが魅力の「HTC U11」
日本でも法人設立後11年の実績があるHTCは、2005年には世界初の3Gスマホ「HTC Universal」、2008年には世界初のAndroidスマホ「HTC Dream」を発売するなど、歴史上の節目節目にその名を残しています。
その一方でHTC NIPPONは、「せっかく世界初として出しても、他のメーカーのほうが有名になることが多い。なんとかしていきたい」と悔しい思いを語っています。
イベントで公開されたのは、HTC U11のグローバル版です。新たな操作方法として「グリップ」に対応。端末を持ち、軽く握るとカメラが起動。もう1度握るとシャッターを切ることもできます。長めに握ると、日本語にも対応予定のAIアシスタント「Google Assistant」が起動します。
本体の両面には世界初の「3Dガラス」を採用し、金属とガラスが滑らかに融合しています。デモ機の本体カラーはシルバーですが、その色合いは見る角度によって変化していくという凝ったもの。これまでさまざまな「撮影困難スマホ」を手にしてきた筆者も、かなり撮影に苦労しました。
イベント時点では具体的な発売キャリア名を明かさなかったものの、5月25日にはソフトバンクが夏モデルのラインアップを追加発表。6月下旬に発売することを明らかにしました。
ただし、日本市場向けに発表した本体カラーは4色で、ソフトバンク版は3色しかないことから、さらなる発表を期待できそうです。
日本市場では「HTCファン」中心に展開
HTC NIPPON社長の児島氏は、「みんなが使えるスマホではなく、HTCが好きなユーザー、新しいものが好きなユーザーに向けた端末だ。いったんHTCから離れてしまった人にも、再び輪を広げていきたい」と狙いを語ります。
HTC U11の開発にあたっては、「日本発」のアプローチを採用したとのこと。2016年にKDDIが発売した「HTC 10」は、防水やおサイフケータイのないグローバルモデルそのままのスペックが特徴でした。これに対してHTC U11は「グローバルモデルに日本向けの機能を入れていくことで、そのまま日本で出せるようにした」と児島氏は語ります。
その背景として児島氏は、アジアにおける日本の特別さを強調します。「日本市場の規模は、HTC全体から見ると小さい。だが、日本で売れているという事実がブランドになり、アジア全体で売れることにつながるため、非常に重視している」というのです。
一方、SIMフリーについては、一度は参入したもののシェアは低迷。2017年3月にMMD研究所が実施したSIMフリー端末の調査では、メーカー別シェアとしてASUSの13%、ファーウェイの12.5%に対し、HTCは0.7%にとどまりました。
HTC U11のSIMフリー展開について、児島氏は明確に否定することはなかったものの、「HTCの新しいイノベーションをSIMフリーの価格帯に落とし込める頃には、SIMフリーでも出していきたい」として、当面は大手キャリア向けが中心になることを示唆しています。
グローバルで発表した「ソーラーレッド色」が日本市場で発売されない理由としては、「ソーラーレッドはもともと日本向けのカラーとして作ったもの。レッドを求める皆さんの声が大きくなれば検討したい」と含みを持たせています。これはぜひ、追加のカラバリとして発表を期待したいところです。
HTCでは、今後もこうしたファンイベントを定期的に開催していくとのこと。最後に児島氏は、「iPhoneやXperiaのように大衆に受けるブランドを目指すのではなく、本当に愛してもらえる人に向けてアピールしていく」と展望を語りました。
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