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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第165回

「Emoji」に親しみつつ、感じる音文字の可能性

2017年05月18日 17時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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「絵文字+音」というアイディア

 日々、絵文字と音声デバイスを使っている中で、もう少し音を、コミュニケーションやコンピューティングに生かすことはできないか、というのが今日の本題です。

 3つの音階のパターンでコマンドを与えられたり、何かの状況や動作を、音階のパターンでフィードバックしたり、といった可能性はないかという話です。

 もちろん、言語の方が音としては情報量が多く優れている事は間違いありません。

 たとえば音声デバイスを操作するとき、前述の例に挙げたタイマーの場合、言葉なら正確に時間の長さを告げられますが、鼻歌の3音階で時間の長さをどうやって鼻歌で表現するのか。その表現方法の音のコードを覚える方が難しいのです。

 他方で、緊急地震速報が不安と緊急性を両立させるトーンに設計してあるように、音のパターンにもその意味合いや、もっと簡単に言えば雰囲気を盛りこむことができます。文字や言葉で説明するよりも、より直感的な伝達方法になるでしょう。

 一方的に伝えられるだけではなく、自分も音で発信する場面が、今後のコミュニケーションやコンピューティングに表れるのではないかと可能性を感じています。

直近の問題解決としての絵文字+音

 筆者はウォーキングして職場に向かうとき、ワイヤレスヘッドフォンをしています。一般的にはスマートフォンはポケットに入れる人が多いのですが、実際にはカバンにしまった方が邪魔にならず、歩きやすいです。そのため、なにかメッセージが届いたり、音声着信があった場合は、ヘッドフォンだけで操作してメッセージを音声で聴いたり、着信に応えたりしています。

 音声アシスタントと同様に、スマートフォンを音だけで使う場面が1日の中で少なからずあります。

 もちろんテキストのメッセージは、短いものが多く、雰囲気や意味合いなどを精査しなくても、正しく返信ができることが多いです。ただし、絵文字はときどき言葉のニュアンスを和らげたり、楽しさを伝えたりするために使われますが、これを音声で聴いたところで、いまいちその効果を正しく受け取ることができません。

 たとえば「今度行こう(クラッカーの絵文字)」というメッセージを受け取って、文字の部分だけ読み上げられたら、「あれ、あんまり乗り気じゃないのかな」と受け取るかもしれません。「クラッカー」と読み上げられても、声のトーンがいっしょなら、さほど盛り上がっている感もありません。

 耳だけで絵文字入りのメッセージを受け取る時、絵文字の雰囲気に合わせた効果音が鳴ると、耳でメッセージを聞くときにも、正しくニュアンスを受け取ることができるのになと思うわけです。

 増え続ける絵文字の1つずつに、そのニュアンスを反映する音を付けるというのは、想像以上に大変です。食べ物もたくさんあって、おでんの音、アボカドの音ってなんだろう、という話になってくるわけで。

 今のところは、音声で読み上げられる絵文字を、脳内で絵柄に変換して理解する、という一定の処理が必要ですが、これがもっと直感的になると、画面を見ながらのコミュニケーションでも音を楽しむような、そんなメッセージングの世界が訪れるかもしれません。

 そして、このことは、音声のみで利用するコンピュータの可能性や実用性を、より大きく拡げることになるはず。できれば、絵文字ならぬ「音文字」も、日本からグローバルスタンダードへと押し上げられる文化になると良いですね。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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