このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第160回

ビデオへのコンプレックスは、すぐに捨てた方が良い

2017年04月12日 17時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

SnapchatにInstagram Stories

 こうして筆者が動画に対して悩んでいる間に、時代はどんどん進んでいきます。Twitterが買収したVineは、6秒という短い動画をシェアする仕組みで一世を風靡し、そして消えました。また、すでにビデオを日常会話として扱うアプリはたくさんあります。

 Snapchatでは、デコレーションできるビデオをシェアする仕組みを取り入れましたし、Instagramも追随して24時間だけ公開する写真・ビデオを織り交ぜてデコれるようにしました。

 これらの新しいビデオの価値観を見ていると、ビデオをどう撮影して、どう編集して、という悩んでいる暇はありません。とにかく撮影してすぐシェア。その最たるものが、FacebookやTwitter(Periscope)でのライブビデオ配信です。

 一度スマホからのライブ配信を体験してみると、少し納得する部分もあります。SnapchatやInstagramは、どちらかというと、ライブ配信に近い感覚なのです。

 デコレーションという編集は加えますが、とにかく目の前のものをすぐにシェアすることに価値がある、というわけです。後で見られるかどうかは関係ありません。どうせ24時間で消えてしまうんですから。

Apple Clipsはちょうど中間的な存在

 Appleは先週、「Clips」というビデオアプリを公開しました。Clipsを使って見ると、ちょうど普通のビデオ撮影とライブ配信の中間のような使用感でした。

Apple Clipsの録画画面。とにかく録画ボタンを押している間だけ、カメラの映像や録画してあったビデオが記録される仕組みです。ライブ感ある撮影&編集が可能です

 Clipsの使い方は単純明快で、カメラだろうが、スマホに保存されている写真やビデオであろうが、とにかく録画ボタンを押している間、カメラの映像や撮影してあったビデオの映像が記録されます。

 その間に喋ればアフレコできるし、声を字幕にしてくれます。とにかく、録画ボタンを押している間だけが記録され、編集できるという仕組み。失敗したらやり直せばいいだけ。

 つまり、1分のビデオはほぼ1分で仕上がる、というわけです。厳密には書き出す時間が必要ですが、撮影と編集は限りなく1分に近い時間で終わるのです。

 これにはなるほどなと唸りました。もちろん、しっかり三脚を立てて撮影するビデオとは違いますが、1分のビデオを1本作るのか、1分のビデオが同じ時間で5本できるのかでは、コミュニケーションを目的とした場合大きな違いになりますよね。

 Apple Clipsは、Snapchatやライブ配信といったインスタントなビデオ時代に乗り遅れつつある筆者を含む人たちにとって、その感覚をぐぐっと引き寄せてくれるような存在に思えてきます。

 下の動画は、Clipsダウンロード初日に作ってみたサンプルです。

 iPhoneをお使いのみなさんも、Clipsでのビデオ撮影、試してみてください。きっと目から鱗が落ちると思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン