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旅人から複業家、そしてコミュニティマーケティングの伝道師へ

AWSだった小島英揮さん、パラレルキャリアの道をただいま爆走中

2017年03月10日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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パラレルキャリアだけど「カテゴリ」が存在する

大谷:さて、パラレルキャリアという働き方ですが、メインの仕事に対するサブの「副業」ではなく、複数の会社で仕事する方の「複業」ですよね。先ほどはInstaVR、Stripe、Rider's Garage、Event Regist、Moongiftの5社の名刺をもらいましたけど、こちらは頭が混乱しそうです(笑)。

小島:そうですよね。ただ、僕の複業には一応カテゴリがあります。中の人としてコミュニティ運営やエバンジェリズム、マーケティング全般を見る3社、アドバイザーとして実行をヘルプする2社、無償でノウハウを公開するCMC_Meetupというコミュニティの3つのカテゴリです。カテゴリがあるので、複業といっても、完全にパラレルというわけではないです。

特に中の人として実行するというのはこだわりました。全部アドバイザーになるとインプットがなくなります。知っていることをお伝えしても、実行するのは別の人がやるので、フィードバックが小さいんですよね。

大谷:まずは中の人として関わっているのが、InstaVRですね。新しモノ好きの小島さんっぽいですね。

小島:とにかくAI、VR、IoTのどれかは絶対やりたかったので、今回はInstaVRというスタートアップで、VRの民主化にチャレンジすることになりました。

VRでポカーン体験中の小島氏

InstaVRは、いわゆるVRのコンテンツを作るCMS(Contents Management System)です。これまでのVRはハイスペックのPCが必要とか、Unity覚えなければならないとか、敷居が高かった。でも、InstaVRでは、基本的には素材をアップロードして、ストーリーを作れば、VRコンテンツができてしまいます。だから、VRコンテンツを大量生産するのに向いています。

たとえば、マンションの内見をVRでできますというコンテンツの場合、一点物で作ってしまうとどうしても割に合いません。安くて、大量に作れるフレームワークが必要なので、InstaVRはまさにそういったものです。

大谷:なるほど。VRを作る側にメリットのあるサービスなんですね。

小島:自分の中では今のVRってAWSの初期とかぶるんですよ。一部のユーザーのためのサービスがコモディティ化して、民主化して市場に認知されるようになるという流れは、クラウドと同じかなと。

あと、個人的には日本発で世界のマーケットに向けた製品をやるのは初めてです。今まで外資系で日本市場を見てきたのですが、日本からグローバル市場に向けてという視点はあまりなかったので、自分の中ではチャレンジですね。

大谷:もう1つはStripe。こちらは逆に米国の決済スタートアップですね。

小島:AI、IoT、VR以外で、もう1つやりたかったのが決済の領域。テクノロジーとビジネスが変わっていく中で、決済の仕方もこれまでと違ってくるだろうと。だから、オンライン決済は絶対やってみたかったんです。その結果、Stripeはエバンジェリストをやらせていただくことになりました。

大谷:先日、別のイベントで元マイクロソフトの砂金(信一郎)さんが、「LINEに行かなかったら、決済系に行ってた」といった話をしていたので、感度の高い人はそこに目が行くんでしょうね。どういったサービスなんでしょう。

小島:Stripeはいわゆるオンライン決済のためのペイメントプラットフォームです。多くのビジネス事業者がオンライン決済を導入する際、クレジットカード情報を自社で持つのは、投資的にもセキュリティ的にも負担になります。そこで、ペイメントプラットフォームを使うのですが、Stripeを使うと事業者側からすると審査や実装が早く済む、支払う側からはログインなど余計な手間がなくなり、UXが損なわれないといったメリットがあります。

あとは月額制のサブスクリプション管理や越境EC向けのグローバル決済もも簡単にできます。既存のペイメントの課題を解決するために最近できたものなので、非常にモダンです。エンジニアからの評価も高いので、そういう声をどうやってみなさんに届けていくかが大きな課題ですね。

大谷:いま担当している5社のうち、Stripeだけが外資系ですね。

小島:外資系企業はラーニングすることが多いんです。日本からグローバル市場を見ていても、実際にグローバル市場でビジネスする人にはかなわない。逆に、グローバル市場の視点を持っていると、自身の考え方をうまくキャリブレーションできます。だから、これからパラレルキャリアやろうという人は、外資系企業で経験を積むのがすごくいいと思いますね。価値観の許容度も増すし、一番簡単に外のモノサシを知る方法です。

大谷:InstaVRとStripeの2社は、いわゆる中の人として担当するんですね。

小島:はい。どんな製品やサービスでもできるわけではないので、やはり惚れたサービス、筋のいいサービスを選びました。だから自分の中でも熱が入っています。

その意味では、3つ目のRider's Garageは、僕のバイク好きが講じて担当するサービスです。バイク用品のメルカリみたいなC2Cサービス。僕、ずっとB2Bの人間なので、それ以外のビジネスはぜひやってみたかった。こちらは趣味の延長なので、週末の時間を使ってという感じですね。

コミュニティマーケティングを実践する場と共有するコミュニティ

大谷:EventRegistとMoongiftはアドバイザーとして関わっていますね。

小島:これに関してはコミュニティマーケティングの話もしないとですね。

AWSを辞める前は、自分はオールラウンドのマーケターだと思っていたのですが、辞めてからお声がけしてもらうのは、コミュニティの話ばかりでした(笑)。はじめは面白半分でいろんなところでお話しをしてきたのですが、正直回らなくなった。なので、自分の知っていることをみんなにお教えしますということで、始めたのがCMC_Meetupというコミュニティです。ここでは自分の持っている知見を無償で、惜しげなく教えています。

ただ、理解はできたけど、どうしてもサポートしてほしいという会社があったんです。自分のところではやりきれないとか、ヘッドカウントがないとか。そこでEvent RegistとMoongiftの2社は自らお手伝いすることになりました。

大谷:なるほど、コミュニティマーケティングのためのヘルプなんですね。

小島:MoongiftはDevRelのアウトソーシングをやっている会社で、技術ブログを書くとか、勉強会をオーガナイズするとか。ここのリソースを使えば、複数の会社でコミュニティをドライブすることができそうだということで、アドバイザーとして入っています。

EventRegistも基本的には同じですが、こちらはDevRelよりはファンマーケティングに近い感じ。イベント集まった参加者をなるべくファンにしていきたいと考えたときに、単なるイベント運営からコミュニティ構築に進む必要がでてきたんです。こちらもアドバイザーとして関わっているので、実務よりも、コミュニティの設計やフレームワーク作りの支援が主になってきます。

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