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ゴーン社長退任後の「地位と報酬」、ブラジル大統領待望論も!?

文● 井元康一郎(ダイヤモンド・オンライン

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Photo:NISSAN

日産自動車は2月23日、4月1日付けで西川廣人氏が社長兼最高経営責任者(CEO)に就任する人事を発表した。カルロス・ゴーン社長は社長兼CEOからは外れ、引き続き代表権のある取締役会長を務めるという。業界内では、その後のゴーン氏の巨額報酬の成り行きや、中長期的な身の振り方について、関心が高まっている。(ジャーナリスト 井元康一郎)

ついに世代交代を決意した
カルロス・ゴーン氏

 日産自動車の社長を実に18年にわたって務めてきたカルロス・ゴーン氏がついに世代交代を決意した。今年4月1日付けで代表権を持つ会長に就任し、CEO(最高経営責任者)から外れる。代わって社長を務めるのは昨年、共同CEOに就任していた西川廣人氏である。

 昨年11月、燃費不正で大きなダメージを被った三菱自動車を傘下に収めた際、西川氏を共同CEOに登用。「全幅の信頼を置いている」と持ち上げたときから、ゴーン氏の去就について「何らかの動きがあるのではないか」と噂されてはいた。

 しかし、周知の通り、ゴーン氏は業界でも「永遠のCEOか」と言われるほど日産社内で絶対的な権力を持つ。今回の人事のリリースノートには、西川次期社長のコメントが掲載されていた。

「新たな責務を任せてくれたゴーン会長と日産の取締役会に感謝しています。ゴーン会長の下、日産の優秀な経営陣と協力し、日産が今後も継続的に好業績をあげ、発展し、そしてアライアンスの成功に貢献していくべく、力を尽くしていきます」

 そもそも社内人事について「感謝しています」というコメントを公表すること自体も異例だが、それ以後のくだりも基本的にゴーン氏の意向に沿った経営を行っていくことを匂わせるものだ。

 ルノー・日産・三菱自動車の「国際アライアンスの総帥」というゴーン氏のポジションに変化はないということは容易に推測できる。名目上、日産CEOという肩書きは外れるが、経営戦略を決めるのはゴーン氏というのは間違いない。西川氏は単独でCEOを務めることになるが、その役割はいわば“拡大COO”のようなものになる可能性が高い。

注目されるのは
ゴーン氏の巨額報酬と身の振り方

 今回の人事に関する発表はゴーン、西川両氏の異動のみで、それ以外のことは何も触れられていない。その中でも、特に注目される点は二つ。

 (1)年間約10億円という日本の自動車業界では破格というべきゴーン氏の役員報酬がどうなるかということと、(2)ゴーン氏の中長期的な身の振り方――である。

 まず、役員報酬。

 西川氏がCEOとなる以上、最高報酬を受け取るのが西川氏となってもおかしくないところだ。だが、

「ゴーンさんはすでに巨万の富を築いていますが、報酬面で自分の社内序列を自ら下げるとは思えない」

 と、ある業界関係者は語る。

 ただ、株主へのポーズとして10億円という水準を引き下げる可能性はある。ゴーン氏は三菱自動車の会長も兼務しているが、同社では昨年、役員報酬の上限が大幅に引き上げられた。

 経営再建を成功させ、利益が出始めれば、そこで高額報酬を得ることができるのである。日産から高額報酬をもらい続けなくても、継続的に富を築けるという皮算用はありそうだ。

 一方、今回の人事は今年3月で63歳になるゴーン氏の「次なる人生キャリア」の展望につながるかもしれないという観測も出てきている。

荒唐無稽な話ではない
“ゴーン大統領待望論”

 40代という若さで日産のCEOに就いたゴーン氏も今年3月ではや63歳だ。ブラジル出身でレバノン、フランスと移り住んだ。フランスではエリート養成のためのグランドゼコールの一つ、エコール・ポリテクニーク(国立高等鉱業学校)を卒業し、旧フランス領出身以外の移民1世としてはフランス社会で異例の出世を遂げたという“移民の星”だ。

 そのゴーン氏は、過去にもブラジル大統領選挙への出馬の可能性が取り沙汰されたことがある。これはまったくの荒唐無稽な話ではなく、経済危機に陥ったブラジルの国民のなかには“ゴーン大統領待望論”を抱く人が一定割合存在する。ブラジル大統領になる道はあるのだ。

「アメリカの大統領にトランプ氏が就任したことで、世界のスキームが大きく変わろうとしています。そのような情勢のなかで故国ブラジルの大統領になることは、ゴーン氏が抱く“ダイバーシティ(多様性)こそ成長の源”という信条で世界を変えるチャレンジになる。今はルノー、日産、三菱自動車のアライアンスの監修役というスタンスを崩していませんが、三菱自動車については短期間で成果を出すとも言っています。もしかするとアメリカの政局を見て、移民の星として何らかの思いを抱いたとしてもおかしくない」(前出の業界関係者)

 もちろん現時点でわかっているのは、ゴーン氏はルノーのCEOとしてグループの統括に専念するということだけだが、ビジネスの世界ではグローバルでもスーパースターとして取り沙汰される人材である氏の今後がどうなるか興味深い。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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