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業界人の《ことば》から 第228回

ソニーのαシリーズが国内外で高評価、でもまだ足りないもの

2017年01月10日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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弱みのサポート体制も着実に強化

 それがサポート体制であった。

 「プロフェッショナルやハイアマチュアユーザーに対して、マーケティング面やサポート面において、万全の体制が整っているのかというと、先行しているカメラメーカーとは大きな差があった」(ソニーマーティングの河野社長)。

 プロフェッショナル向けのサポートプログラムである「ソニー・イメージング・プロ・サポート」の窓口は、東京・銀座のソニーストア銀座に併設しているだけであり、キヤノン、ニコンに比べると脆弱であった点は否めない。

 ソニーでは、2016年9月24日のソニーストア銀座の移転オープンにともないソニー・イメージング・プロ・サポートのエリアを約3倍に拡張。さらに大阪・梅田、名古屋・栄、福岡・天神のソニーストアにおいても、ソニー・イメージング・プロ・サポートの窓口を開設。2017年春にオープンする予定のソニーストア札幌にも同様の窓口を開設することを発表した。すべての拠点でプロサポートができるスタッフが常駐。これにより、全国5つの主要都市において、プロフェッショナルサポート体制を整える。

 同時に販売網についても、高い製品知識を持ったカメラ量販店に対する販売強化に加えて、プロフェッショナルが購入するような専門店ルートにも展開。2016年11月にはプロフォトグラファー、プロビデオグラファーを対象にした展示会を初めて開催。プロフェッショナルへのアプローチを本格化している。

 一方、ソニー・イメージング・プロ・サポートの窓口拡張にあわせて、ハイアマチュアから初めてαを使うユーザーまでを対象にした「α PLAZA」を、全国のソニーストア内に開設。「すべてのαユーザーが、創作活動のサポートをワンストップで受けられる場として開設しプロクオリティーの体験やサービスを提供できるようにした。αテクニカルアドバイザーと呼ぶプロサポートスタッフによる技術説明や使い方相談のほか、専用設備を使ってカメラの点検や清掃、ソフトウェアアップデートを有料で対応するメンテナンスサポートも用意する」という。

α PLAZA

カメラの整備も対応してくれる

 さらにソニーストア内にギャラリースペースを常設し、プロフォトグファーやビデオグラファーなどの作品展のほか、地域のコミュニティなどによる写真展も開催する。

 そのほか、これまで年間1000回以上のペースで開催してきた「α cafe体験会」や「αセミナー」を継続するほか、2017年春からはαアカデミーの名称で、6~8回のコースで連続して学ぶことができる「αアカデミー」を開催し、カメラの基礎から高度な技術までを体系的に習得することができるようにするという。

「カメラメーカー」のソニーになるか

 「ソニーは、写真文化の創出に貢献したい」と語るが、それを具現化する取り組みだといえよう。

 こうした体制強化によってソニーは、プロユースから初心者までをカバーする製品とサポートの両輪を揃えることができるという。

 「テレビやオーディオは、ソニーを買えば安心というブランドイメージがある。そして、カメラならばキヤノンやニコンを買えば安心というイメージが定着している。ソニーはカメラにおいても『ソニーを買えば安心だ』という新たなイメージを定着させたい」とし、「家電メーカーであるソニーのαから、カメラメーカーの1社であるソニーが発売するαへとステップアップする時期に入ってきた。プロフェッショナルに対するマーケティング強化、サポート強化だけでなく、ハイアマチュアユーザーをはじめ、すべてのαユーザーに対するサポートも強化していく」とする。

 「αの事業は、ソニーのコア中のコアといえる事業。そしてその考え方はこれからも変わらない」と河野社長。プロフェッショナル向けの製品とサポートの両輪によって、2017年はソニーが真のカメラメーカーとしての道を歩むことになりそうだ。

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