前回のRCCはさすがに使ったことがあるユーザーは少ないと思いきや、Champion 1.0を数台持っておられるという方がいらっしゃって、さすがに筆者もびっくりした。
ただ、さすがに今回紹介するCorollary, Inc.のチップセットを積んだマシンをお持ちの方はそういないと思う。前回説明したProfusionチップセットを提供していた会社である。
ハイパフォーマンスマシンの
技術をOEMメーカーに提供
Corollary, Inc.は1985年、 George White氏とAlan Slipson氏により設立された。前職は2人ともTexas Instrumentsの上級管理職であり、2人で独立して創業した。
画像の出典は、“Corollaryのホームページのアーカイブ”
ちなみにCEOはWhite氏が勤めている。Slipson氏はUNIXのエキスパートであり、同社のマシンにさまざまなUNIX系のOSを実装する中心人物だったという記述もあるが、単なるソフトウェア屋さんではなく、ハードウェアも理解できる人物だったようだ。
そのCorollaryが手がけたのは、x86をベースにしたスケーラブルなハイパフォーマンスマシンである。ただ同社は当初、自社で製品を作るのではなくOEMメーカーに協力する形で技術提供を行なうという、普通と異なったビジネスを展開した。
これが同社にとって初めて手がけた製品かどうかは怪しいが、最初にCorollaryの名前が出た製品が、Zenith Data SystemsのZ-1000というマシンである。
画像の出典は、“Computerworld誌 1998年8月22日号”
最大6つの80386を搭載する構成で、この上ではSCO Xenix 2.3が動き、最大160人のユーザーがターミナル経由で利用可能というものだった。MS-DOSのセッションもここで利用可能で、Lotus 1-2-3などのアプリケーションが利用可能という触れ込みだったが、これが本当に可能だったのかどうかははっきりしていない。
他にNovellのNetwareも移植予定だったそうだ。1987年に発表されたが、出荷は1989年3月までずれ込んだ。価格は2プロセッサーのモデルで1万9000ドルから、6プロセッサモデルは5万9300ドルからとなっていた。
ハードウェアの構成を見ると、High-speed multiprocessor busと呼ばれる独自バスはバーストで64Mbit/秒、連続転送で42Mbit/秒のバス幅を持っており、ここがメモリーアクセスとキャッシュコヒーレンシ制御を行っていた。
またI/O Busとして64KBのキャッシュを持つ6Mbit/秒のSuperset Busなるものも用意されており、こちらは高速I/O向け(HDDだろうか?)となっていた。
商業的にZ-1000が成功したかと言われるとやや首を傾げたくなるのだが、きちんとシステムができたことでCorollaryの株が上がったことは間違いない。
この後Corollaryは、486ベースのシステムの開発を手がける。1989年に同社はC-Bus Iと呼ばれるインターフェースをベースとしたマルチプロセッサーシステムを開発する。
ちなみに名称はCorollary Bus Iの意味で、PC-9801で採用されたC-Bus(Compatible Bus)とはなんの関係もない。このC-Bus Iは、486をベースに最大8プロセッサーのSMP構成が可能となる仕組みで、まずZenith Data Systemsがライセンスを取得した。
次いでDigital Equipment、Unisys、NEC、Everexなどサーバーを手がける企業が相次いでやはりライセンスを取得した。このC-Busに関しては実は仕様がよくわからないのだが、これを拡張したC-Bus Extentionに続き、1991年にはPentiumをサポートするC-Bus IIを発表する。このC-Bus IIに関してはもう少し資料があるので説明しよう。
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