世界でユーザー1億人という音楽ストリーミングサービス「Spotify」が、ようやく日本に上陸しました。
日本国内ではすでに類似の音楽配信サービスがいくつも提供されており、Spotifyは最後発といえるほど出遅れています。しかし気になるのは「無料プラン」の存在です。
Spotifyの無料プランを試してみた
Spotifyには月額980円の有料プランもありますが、注目はやはり広告付きの無料プランです。実際に試したところ、大きく3つの制限がありました。
まずは広告の存在です。曲と曲の合間に、数曲に1回くらいの頻度でCMが流れます。1回のCMは15秒で、スキップすることはできず、じっと聞いているしかありません。
特にしっとりしたバラードの直後とか、洋楽の合間に日本語のCMが入るのは、それなりに違和感がありました。
CMの内容は、ネスレの「キットカット」やBOSEのスピーカー、Spotify内のチャンネルを紹介するといったもので、無料で使えるならば許容できる範囲という印象です。また、たまに「動画広告」の紹介があり、タップして見ると30分間CMが出なくなるという仕組みがありました。
2つめの大きな制限は、スマホアプリが「シャッフル再生」しかできない点です。特定の曲だけを再生することはできず、アルバムやプレイリストの単位で、勝手にシャッフルされた曲順での再生になります。
目的の曲まで飛ばしたり、1曲だけのプレイリストを自作したりと試行錯誤したものの、一定回数以上は飛ばせないとか、「おすすめトラック」が入るなどの制限があり、なかなか思い通りにいかない仕様になっています。
一方、PCやタブレットのアプリではシャッフル再生の制限はなく、好きな曲を選んで自由に再生できるものの、1ヶ月に15時間までしか使えないという別の制限があります。
3つめの制限は、ストリーミング再生に限られる点です。繰り返し聞くものを端末にダウンロードできれば、データ通信を節約できます。しかし無料プランでは必ずストリーミング再生になるため、外出先で利用する場合はデータ通信が必要です。
ストリーミングが無料になるSIMカードが欲しい
Spotifyと競合サービスを比べると、国内ではApple MusicやGoogle Play Musicが人気を博しています。最近ではApple Musicを9800円で年間契約できるカードが登場するなど、料金面での競争も始まっています。
価格の安さでは、AmazonのPrime Musicも魅力です。Spotifyの4000万曲に比べると楽曲のラインアップは物足りないものの、Amazonプライムの会員なら実質無料で無制限に利用できるというメリットがあります。
これらの先行サービスに比べると、Spotifyの強みはやはり無料プランです。ただし、外出先でストリーミングを利用すると、データ通信も含めたトータルではむしろ費用がかかってしまう可能性もあります。
Spotifyの無料プランで使える標準音質は160kbpsで、15時間使えば1GB程度の通信になります。出先でスマホ中心に利用すれば、月に数GBの通信になってもおかしくありません。
そこで注目したいのが、OCNやLINEモバイルの「カウントフリー」に代表される、特定サービスの通信が無料になるSIMカードの存在です。米国では、T-Mobile USがSpotifyを始めとする多数の音楽のストリーミングを無制限に使えるようにしたことで、人気を博しています。
こうしたカウントフリーの存在は、新しいサービスの登場を阻害するという懸念もあります。しかしMVNOの熾烈な競争の中で、差異化ポイントとして有効であることも確かです。もしSpotifyのストリーミングが無料になるようなSIMカードが登場すれば、大きなインパクトを生み出すでしょう。
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