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最強のウォークマン、ヘッドフォン、アンプを実機レビュー! 第2回

20万円超のソニー極上ヘッドフォン「MDR-Z1R」はもはやスピーカーで聞いているようだ!

2016年09月13日 10時00分更新

文● 鳥居一豊

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1日中でも付けていられそうな優しい装着感

MDRーZ1Rの装着イメージ。ハウジングが大柄なせいで見た目にはアンバランスな感じもある。小顔の人だと、ちょっと大きすぎるように感じるかも

MDRーZ1Rの装着イメージ。ハウジングが大柄なせいで見た目にはアンバランスな感じもある。小顔の人だと、ちょっと大きすぎるように感じるかも

 これらを見ていくだけで、かなり気合いを入れて音質を追求したモデルだとわかるが、ヘッドフォンの実力は音の良さだけでなく、装着感も重要だ。

 装着してみると実に軽快。ヘッドフォンの重量も385g(ケーブル含まず)と、比較的軽めになっているが、イヤーパッドやヘッドバンドのフィット感が非常に良く、数値以上に軽く感じる。耳の周囲と頭頂部の重量がバランスよく分散するためか、実に軽やか。側圧も比較的軽めなのに、すぐにずれてしまうような不安感がない。

 イヤーパッドは人間の頭部にフィットするようにデザインされた立体縫製で、さらに厚みのある低反発ウレタンフォームが充填されている。

 このため、圧力が均等に分散しフィット感を向上。しかも頭部にぴったりと密着して気密性を高めるため、空気の漏れによる低音感の減少も抑えている。このあたりは、従来のソニーのヘッドフォンでも採用されているものだが、従来のノウハウを活かして優れた装着感を実現している。

立体縫製のイヤーパッド

立体縫製のイヤーパッド

 ちなみに表皮は羊革で、日本の工程管理のもとでなめし加工されたもの。肌触りの良さと適度な透湿性を持ち、耐久性にも優れた素材だ。

 ヘッドバンドはその素材にβチタンを採用。チタン製メガネフレームで使われる材料を改良したものだ。

 チタンフレームのメガネのフィット感の良さ、軽い装着感をメガネ着用者はご存じと思うが、それと同様に軽量で弾力性に富み、あらゆる人の頭部の形状に合わせてしなやかにフィットするという。ヘッドバンドのカバーには、耐久性の高い牛革を使用し、内側には弾力のある厚めのクッションを備えている。

 実際、この装着感の心地よさは見事なもので、ハウジングが大きいために見た目はやや不安定な印象もあるのだが、しっかりと優しくホールドされている感じ。ヘッドフォンを装着しているという感覚はかなり少ない。

 試聴を行った1~2時間程度の時間ではまったく疲れる感じがなく、一日中装着していても問題なしとさえ思えるほどだ。

 また、装着感の良さや疲労感の少なさは、ハウジングを支える部分の回転軸を内側に向けて安定性を高めた「インワードアクシスストラクチャー」や、可動部分のガタつきをなくす「サイレントジョイント」でメカニカルなノイズを低減し、音楽鑑賞時の静けさを確保する機構もおおいに貢献しているだろう。

アンバランス、バランスケーブルの付属をはじめ
細部まで徹底した作り込み

 こうした設計や機構はソニーのヘッドフォン技術のすべてが結集したものだが、生産の工程も徹底している。

 MDR-Z1Rは、コンデンサーマイクや、モニターヘッドフォンの「MDR-CD900ST」などのプロフェッショナル向けの音響製品を生産している日本の工場で作られている。

 業務用機レベルの厳しい品質管理で、熟練作業者によるハンドメイドで組み立てられているそうだ。厳しい検査をパスした証として、シリアルナンバーが刻印されるが、本体だけでなくハードケースもシリアルバンバー入りだ。

 ヘッドフォン本体の作り込みも価格以上にコストのかかったものになっているが、付属品もしっかりとしている。

3.5mmステレオミニ、4.4mm(5極)の接続ケーブルが2本付属

接続端子はネジ式で、強く引っ張っても抜けにくくなっている

接続端子はネジ式で、強く引っ張っても抜けにくくなっている

 付属する着脱式のケーブルは、3.5mmステレオミニのアンバランスケーブルと、4.4mm(5極)のバランスケーブル。どちらもヘッドフォンとの接続コネクター部にはネジ式のロックリングを備えており、確実な接続が可能になっている。

 ヘッドフォン側の接続端子は電気抵抗の少ないコルソン合金を採用し、表面は非磁性合金メッキの上に金メッキ仕上げとする念の入りようだ。

 また、付属のケーブルのほか、別売のケーブルとして、KIMBER KABLEと共同開発した4芯編み構成のバランス接続用ヘッドフォンケーブルも用意される。

 付属品だけでも十分と言えるが、リケーブル用のオプションも用意するなど、音にこだわるユーザーの心をくすぐるパーツを用意しているところが憎い。  

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