
今回のことば
「過去5年間のジョイントベンチャーは理想的な形。100点近い成果があった」(NECパーソナルコンピュータ/レノボ・ジャパンの留目真伸社長)
NECレノボ、スタートして5年
2011年7月に、NECレノボ・ジャパングループのジョイントベンチャーがスタートして、5年経過した。
当初の契約では、5年でジョイントベンチャーが終了する可能性があったが、その期間を超えた関係が続いている。
両社のジョイントベンチャーは、NECパーソナルコンピュータおよびレノボ・ジャパンの持ち株会社であるLenovo NEC Holdings B.V.に、レノボが51%を出資し、NECが49%を出資する形でスタートした。
この時点の契約では2011年7月1日から5年後の2016年6月30日まで、この出資比率を維持し、NECブランドによるPCの製造・販売を、NECパーソナルコンピュータを通じて行なうことにしていた。
そして5年を経過した時点で、どちらかの会社が希望すればNECが持つ49%の株式をレノボが買い取り、ジョイントベンチャーを解消することができる条件が付帯されていた。
つまり、この契約条項ではどちらかが希望すれば、2016年6月末にはレノボによる完全子会社化およびそれにともなうNECブランドの消滅といった選択肢しか用意されていなかったともいえるのだ。
2026年まで契約を自動更新
だが2年前に、2016年6月30日までの契約期間を2年間延長。さらにその後は2026年6月30日まで、契約を自動更新することにした。また2016年以降の株式の買い取りに関しても新たな条項を用意し、NECが持つ株式の一部をレノボが買い取り、レノボの出資比率を66.6%、NECの出資比率は33.4%とすることにし、出資比率を変更しながらジョイントベンチャーを継続することが盛り込まれた。
実際、NECは2016年7月1日付けで出資比率を49%から33.4%へと引き下げた。この事実だけをみれば、NECが一歩引いたように見えるが、実は当初の契約に盛り込まれていた「NECが完全に出資引き上げをする」という事態を免れた内容であるのが正しい理解といえる。
いわば2026年までは、日本国内においてNECブランドを使用したPCの事業展開が可能になったというわけであり、むしろこのできごとは前向きにとらえることができるというわけだ。
「これまでのジョイントベンチャーの成果が予想以上のものであったこと、そしてこの仕組みが間違っていないということを両社が認識し、それを維持するための出資比率の変更である。NEC、レノボの両社にとって望ましい仕組み」とNECパーソナルコンピュータおよびレノボ・ジャパンの社長を務める留目真伸氏は語る。

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