教育分野における連携強化を加速している日本マイクロソフトが、新たな取り組みとして、国立大学法人豊橋技術科学大学とともに研究開発を進めているのが、様々な言語による情報をリアルタイムに提供する翻訳サービスである。
この取り組みは、日本マイクロソフトと豊橋技術科学大学、ブロードバンドタワーとが連携し、2020年を目標に実用化を目指すもの。この技術を活用して、海外からの来訪者に対して母国語での観光情報を提供するほか、滞在中に必要となる医療情報や災害情報といった緊急性が高いシーンにおいても、インターネットを通じて最新情報を母国語で入手できるようにするという。
もともと豊橋技術科学大学では、380人の教員のうち12人が機械翻訳を含む自然言語処理分野の専門家。「言語関連研究では高いレベルを持つ」(豊橋技術科学大学の原邦彦副学長)ことが特徴だ。
音声認識や関連技術開発などにも取り組んでおり、今回の共同プロジェクトの中心的役割を果たす豊橋技術科学大学情報メディア基盤センターの井佐原均教授は、30年以上に渡って機械翻訳に関わっており、アジア太平洋機械翻訳協会の会長も務めている。
豊橋技術科学大学では、機械翻訳に関する要素技術の開発のほか、分野ごとの重要語句の抽出、目的に応じたデータの分類などにより、独自に対訳データベースを構築。日本マイクロソフトは、人工知能および機械学習の技術を同社のクラウドサービスを通じて提供し、幅広い事業者が活用できる環境を作る。また、ブロードバンドタワーは、これらをサービスとして提供する基盤を構築。社会への導入を促進することになる。
翻訳サービスを実現するための最大のポイントは、日本語を英語に翻訳する部分だ。
豊橋技術科学大学の井佐原教授は、「英訳する際には、日本語には構造的な問題があり、それが機械翻訳の精度を高める点で障壁になっている」と前置きしながらも、「だが、専門分野に特化したり、一定のルールに従って日本語を書けば翻訳精度は一気に高まる」という。
今回のプロジェクトでは、まずは観光分野での活用を目指し、観光情報や土産物情報、旅館・ホテル情報などの翻訳精度を高めることを目指す。観光情報やホテル情報などの文体や内容は、限定された書き方が多く、一定のルールに則って書きやすいため、「現時点でも実用化に近いところまで持っていける」と自信をみせる。
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