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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第3回

いしだあゆみ ゴールデン☆ベストやポール・サイモンソロアルバムも!

麻倉特薦:いしだあゆみやポールサイモンをハイレゾで聴く

2016年07月19日 18時30分更新

文● 麻倉怜士(Twitter:@ReijiAsakura) 編集●HK(ASCII)

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Scarlatti, D.: Keyboard Sonatas
Yevgeny Sudbin

 音場の響きがたいへん多い。ピアノの音は明るく、朗らか。響きの多さにも関わらず、細部のニュアンスや細やかなタッチ感は、明瞭に聴き取ることができる。1曲目のソナタ変ロ長調は快活に積極的に攻める。2曲目のソナタへ短調は短調らしい落ち着きと、しっとりとした味わいだ。BIS録音ならではの透明な音調と豊かな音楽性がハイレゾでさらに冴える。音場の響きを濃密に汲み取り、場に満たされる響きの色彩感を正確に収録するBISの手練手管にノックアウトだ。

WAV:96kHz/24bit
FLAC:96kHz/24bit
BIS、e-onkyo music

Prokofiev: Sinfonia concertante in E Minor & Cello Sonata in C Major
Zuill Bailey,North Carolina Symphony Orchestra,Grant Llewellyn,Natasha Paremski

 素晴らしい音だ。低音のスケールが雄大、透明感がひじょうに高く、チェロもオーケストラも高解像度。プロコフィエフ演奏に必要な色彩感が豊潤。チェロもオーケストラも大きめの音像で語られてるが、相互のバランスがとてもよい。チェロの歌いの深さ、表現性の深さを活かした録音だ。チェロソナタは、偉容な低音と、力感の強い朗々とした叙唱から、豊かな音楽性を感じる。ここではピアノを背景にして、チェロが積極的に前面に立つ。そのくっきりとした粒立ちこそ、ハイレゾだ。

WAV:96kHz/24bit
FLAC:96kHz/24bit
Steinway and Sons、e-onkyo music

American Tunes
Allen Toussaint

 ニューオリンズ・サウンドの伝道師と称されたアラン・トゥーサン(2015年11月に急逝)の最後のスタジオ・アルバム。一曲目、Delores' Boyfriend。ホンキートンクなピアノというと、調律が狂ったピアノが古色蒼然な音を出すというイメージだが、本作はきちんと調律されたピアノにて、豊穣な音色の輪郭がしっかりと描かれたハイフィディリティなサウンド。鍵盤のタッチ感が強靭で、リズムのキレが尖鋭だ。2曲目、Viper's Drag。ペールギュントの「魔王の宮殿」のようなフレーズがところどころ表れる、不気味な短調曲でも、音調がひじょうに鮮明だ。切れ味がシャープなベースはフロントに、ドラムスは奥からリズムを支える。6曲目、Waltz For Debby。ビル・エバンスの叙情的な演奏に慣れていると、こんなにデビイちゃんはハッピーで元気な娘なのかと驚く。録音も低音がしっかりと音調を支え、安定感が高い。

FLAC:96kHz/24bit
Nonesuch Records、e-onkyo music

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