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あのキーボードPCを分解&改造した! その驚くべき結果とは

2016年07月06日 12時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトラ ハッチ

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ひとまず効果はあるものの……欠陥が

 まずはベンチのスコアに影響が出るのかを見ようと、FFベンチを実行。CPUの温度を見てみると、ファンをオフにした状態では最大79度まで上昇しているのに対し、ファンをオンにすると58度まで下がりました。ただし、スコアはどちらも934と同じ。CPUの温度は下がるものの、スコアにまでは影響はないようです。

 ここでふと、キーボードを押すと微妙にたわむことに気が付きました。CPUの熱はアルミ板を通してキーボードの裏に逃がす構造になっているはずですが、たわみがあるという事はそこに隙間があるわけで、うまく放熱が機能していない可能性が高くなります。  試しに指でキーボードを押しながらFFベンチを実行してみると、ファンオフ時で79度→71度、ファンオン時で58度→53度と、かなり温度が変化しました。これは間違いなく浮いてますね。

隙間を埋めるために熱伝導シートを追加

 再び分解してアルミ板と熱伝導シート部分をよく観察してみると、電磁波シールド用のスポンジの復元力に熱伝導シートの粘着力が負けてしまっているようです。というか、そもそも熱伝導シートの厚みが足りていないような気も……。CPUにアルミ板をつけるネジを絞めすぎたのかもしれません。とはいえ、今更緩めても今度はアルミ板とCPUとの間に隙間が空いてしまう可能性が高くなります。

電磁波シールド用のスポンジがキーボードに押されて潰れ、熱伝導シートが密着するはずですが、どうも届いていない様子

 理由が何であれ、このまま組み立てれば隙間ができてしまうという事実は変わりません。そこで、手元にあった0.5mmの熱伝導シールを追加することにしました。これを既存のシートと同じくらいのサイズに切り、重ね貼りします。キーボードを再び取り付けると、しっかりとたわみは解消されていました。

以前何かに使ったときの余り。厚みが0.5mmと薄く、やわらかいので密着用にもってこいです

 これで指で押さなくてもしっかりと冷えるようになったハズですが、ここまで来たらトコトンまで冷やしてみたくなるわけです。もう少し何かできないかなと部品箱を漁ってみたところ、Raspberry Pi用の小型ヒートシンクが出てきました。

 ファンを増設したとはいえ、風が通るのは基板の下側。CPUは基板の上側にあり、冷却はアルミ板に頼っている状況です。このヒートシンクをCPUの裏側に貼ることで、CPUをもっと冷やせるのではないかと期待して、ペタリと貼りました。

裏側ですが、ヒートシンクを増設。どこまで効果があるのかわからないのでお守りみたいなものです

押さえなくても冷えるように

 再びFFベンチを実行してみたところ、CPUの温度はファンオフ時で67度、ファンオン時で52度としっかり下がっていました。熱伝導シートとCPUのヒートシンク追加前と比べ、ファンオフで4度、ファンオンで1度下がっていますから、ヒートシンクもわずかながら効果があるようですね。

 なお、ファンを使わなくても冷却性能は十分間に合っているようで、オン/オフの状態に関わらず、FFベンチのスコアはどちらも934のまま。これ以外にも、20分ほどかかる動画のエンコードや、Superπの3355万桁計算なども試しましたが、性能差はほぼありませんでした。

ファンを付けたメリットをなんとか確認したい!

 ファンをつければCPU温度が劇的に下がって安心感が増すのは確かですが、ファンレスのままでも十分という思いが抜けきれません。そこで、より高い負荷をかけられる『OCCT』の「POWER SUPPLY」テストを試してみました。これはCPUと同時にGPUにも負荷をかけられるので、PCをフル稼働させた状況に近いテストが行なえます。

PCのストレステストに使うソフトとして定番の『OCCT』を使用。グラフも自動で作成してくれるのが便利です

 全テスト時間を1時間とし、最初に50分高負荷をかけてから、最後の10分は待機させる設定としました。これで高負荷時と待機時の温度変化を同時に見ることができます。  ということで、その結果がこちら。まずはファンをオフにしている場合のCPU温度と動作クロックを見てみましょう。なお、CPUはコアによって大きく温度が違っていましたが、ここでは一番温度が高かった「Core #2」の変化をみていきます。

ファンをオフにした場合の温度と速度の変化

 9分を過ぎたあたりでCPUの温度が80度近くになり、動作クロックが1.58GHzから1.33GHzへと落ちているのがわかります。このとき、実はGPUの動作クロックも下がっていて、元の620MHzから300MHzまでダウンしていました。どうやらCPUの温度が80度を超えたあたりで、熱ダレが起こるようです。また、キーボード面もかなり温度が上がっていて、ほとんどの場所で40度を超え、場所によっては46度を超えているところまでありました。ヨーグルトがいい感じに作れそうです。

 4分くらいの周期でCPU使用率なぜか下がってますが、これの原因はよくわかりません。この使用率低下でCPUへの負荷が下がるのか、CPUの温度が低下。結果、動作クロックが大きく上昇するといった変化になっています。とはいえ、またCPU使用率が100%になるとCPUの温度が80度くらいまで上がり、結局、動作クロックは落ちるんですけどね。

 高負荷終了後はCPU温度が急速に落ちていきますが、10分経っても50度台後半と高い値です。キーボード面も、40度を超えている部分が多く残っています。これに対して、ファンをオンにした場合のCPU温度と動作クロックを見てみましょう。

ファンをオンにした場合の温度と速度の変化

 CPUの温度は65度を上限とした値で安定。当然ですが、動作クロックもほとんどが1.58GHzのまま安定し、最後まで完走していました。こちらでも謎のCPU使用率低下は周期が微妙に違うもののありましたが、その時も動作クロックが上がることがあっても、下がることはありませんでした。当然、GPUのクロックダウンもなし。これなら熱を気にすることなく、全力でぶん回せますね。なお、キーボード面の温度は非常に低く、最大温度で37.5度くらい。人肌程度です。

 高負荷終了後は10秒ほどでCPU温度が50度前後まで落ち、そこから緩やかに下がっていき、10分後には45度前後になりました。キーボード面は31度以下。ちなみに何もない机の上が27度くらいですから、かなり冷えてる状態といえるでしょう。

 ここまで低温で安定するとなると、オーバークロックがかなり期待できるのでは!? と思ったのですが、BIOSにクロックを変更する項目がなく、試せませんでした。今のところお手上げ状態ですが、なんとかオーバークロックできる方法がわかれば、試してみたいところです。

 そんなわけで、改造ありきで始めた冷却強化改造ですが、限定条件ながらも性能への効果もあることが確認できました。今はまだそれほど暑くないのでファンレスでも問題ないですが、これから夏にかけて気温が上がってくると、CPUの温度がどこまで上昇するかわかりません。そんな暑い夏でも安定した動作が期待できるというのが、一番のメリットではないでしょうか。ただし、結構ファンの音は気になります……。

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