このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

DSSDファウンダーに聞いたI/Oへのこだわり

フラッシュアレイ最高峰を目指したDSSD D5が生まれるまで

2016年06月28日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ソフトウェアのオーバーヘッドを徹底的に取り去る

 こうしたハードウェアのアーキテクチャをベースに、ソフトウェアでも大きなオーバーヘッドを解消する取り組みが行なわれた。

 D5に搭載された32コアのCPUで10万IOPSを実現するためには、1コアあたり3125IOPSになるため、1つのI/Oあたり320マイクロ秒を達成しなければならない。しかし、実際は数千のインタラクションと複数のキャッシュを扱わなければならず、320マイクロ秒を実現するのはきわめて難しい。

 320マイクロ秒のI/Oを実現するため、DSSDでは可能な限りソフトウェアレイヤーをそぎ落とした。「従来のI/Oスタックでは、ソフトウェアからライブラリ、ファイルシステム、カーネルなどを通り抜けて、ハードウェアに到達し、さらに数多くのファームウェアを経由する必要があった」(ボンウィック氏)。これに対して、DSSDでは数多くのレイヤーをライブラリとして統合し、PCIeを使って、DMAポートから直接ハードウェアに入れるように工夫を施した。PCIeとクライアントのメモリに存在するキューの管理やポーリングモデルに対しても最適化を施し、マイクロ秒単位で遅延を短くしてきた。

ソフトウェアレイヤーも極力シンプル化し、低遅延を実現

 「SSDの読み込み速度は基本的に同じで、フラッシュチャネルの転送やDMAも非常に短い。しかし、ファームウェアは10マイクロ秒、ソフトウェアは100マイクロ秒かかっていた。われわれはソフトウェアを改良し、ソフトウェアを3マイクロ秒にまで縮め、フラッシュチャネルや3D NANDも高速なものを採用やファームウェアも最適化した。この過程がもっともタフだった」とボンウィック氏は振り返る。

 最新のDSSDでは1980年代のHDDベースのシステムに比べて、キャパシティを2000万倍に引き上げつつ、帯域を2万倍、IOPSを20万倍まで伸ばし、計算処理に追いつくよう設計されている。次世代のNVMになると、遅延は1桁マイクロ秒のレベルになる」とボンウィック氏は語る。

ハードウェア、ソフトウェアなどあらゆる部分で遅延を最小化。次世代NVMではさらなる低遅延を実現

マルチディメンジョンRAIDでフラッシュのセル障害に対応

 こうした性能面でのアドバンテージはもちろん、DSSDではフラッシュの障害対策にも配慮されている。「HDDは突然壊れてしまうが、フラッシュはその構造上、時間の経過と共にゆっくり劣化(デグレ)していくことになる。フラッシュのセルはランダムに壊れていく」とボンウィック氏は指摘する。これに対して、DSSDは1万8000のNANDのダイを管理することで、新しいデータ保護を実現している。

2016年2月に発表された「DSSD D5」

 HDD単体の故障を前提とした従来型のRAIDに対し、DSSDでは異なるRAIDを複数組み合わせるマルチディメンジョンRAIDを導入。1つのセルに対して、モジュールの行と列の2方向で冗長構成をかけることで、2つ以上のセル障害に対してもデータのリカバリが行なえる。ボンウィック氏は、「縦方向で3箇所のセル障害が起こっても、数独のようなアプローチで横方向から回復させることができる。フラッシュのようにセル障害が分散する場合は、ほとんどカバーできる」と語る。

 ●

 ストレージにおけるI/Oの課題に真正面に向き合った結果として、ハードウェアとソフトウェアまで含めて、アーキテクチャを抜本的に作り直したDSSD。ディープな説明を聞けば聞くほど、妥協のない開発姿勢には驚かされる。既存のオールフラッシュアレイとは異なる新しいコンピューティングを開拓していきそうだ。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    トピックス

    “持たない家電”ランキング、もはや定番のアレがやっぱり1位なような

  2. 2位

    トピックス

    思い切った慶應義塾 全教職員にNotion導入で168年分の知的資産をAIに食わせるプロジェクトが始動

  3. 3位

    ビジネス

    管理職こそ大事にしないとまずくないか? 約4割が「続けたい、と答えない」現実

  4. 4位

    TECH

    訓練だとわかっていても「緊張で脇汗をかいた」 LINEヤフー、初のランサムウェア訓練からの学び

  5. 5位

    トピックス

    インバウンドの頑張りランキングベスト3は「大分県」「岐阜県」「佐賀県」 努力が光る結果に

  6. 6位

    データセンター

    液冷技術の最先端が集うイノベーションラボ「DRIL」、印西のデータセンターに現わる

  7. 7位

    トピックス

    リモートワークは福利厚生なの? ITエンジニアが本当に欲しい福利厚生第1位となる

  8. 8位

    ビジネス

    ランチ抜きが22%!? 物価高で「水筒・コンビニ控え」が定着する中、なぜか「推し活・美容費」だけは死守するオフィスワーカーたち

  9. 9位

    TECH

    身代金要求攻撃の被害額は「1社平均6.4億円」 それでも6割超が「支払いを否定しきれない」苦境

  10. 10位

    ビジネス

    廃校がAIの心臓部に!? 地方の遊休施設を「AIデータセンター」に生まれ変わらせるハイレゾの挑戦がアツいぞ

集計期間:
2026年04月14日~2026年04月20日
  • 角川アスキー総合研究所