日立IoTの切り札「Lumada」
5月10日に米国で発表するという異例の方法でリリースしたLumadaは、アナリティクス、人工知能、セキュリティーなどを基本機能と位置づけ、その上に各種ソリューションを乗せていくプラットフォームになる。
開発およびプラットフォームビジネスの本社機能を米シリコンバレーに置き、デジタル時代に向けた最先端プラットフォームとしての進化を遂げていくことになるというわけだ。
日立製作所の東原社長は「デジタル技術を活用した社会イノベーション事業の進化においては、IoTプラットフォームが大切になる。またこれを活用して、顧客の課題を顧客と一緒に解決していくことができるフロント力も大切になる」とし「Lumadaはひとつのプラットフォーム上に複数のソリューションを乗せることができるため、デジタル技術でつなげるという点で、効果を発揮することになる。まさに日立が目指す、今後の社会イノベーション事業の姿を実現するものになる。またオープンアーキテクチャーであること、独自の共生自律分散技術により、価値の分析が可能になる。顧客はデジタル技術によるイノベーションを早く手に入れることができるようになる」と位置づけた。
さらにGEのPredix、IBMのBluemix、シーメンスのSinalyticsなどと比較しながら、「GEも、シーメンスも、ハードウェア寄りのアプローチであり、IBMはITが主体のアプローチとなっている。それに対して日立は、OTとIT、プロダクト、システムを持っている。様々な要求に対して具体的な提案が可能であり、これらをグループのなかだけの提案として対応できるのも特徴。ここが他社との大きな違いである。全体のオーケストラの指揮棒を振ることができるのが日立の強み。またそれによって、日立がすべてのデータを抱え込んでしまうということもない。そのためのプラットフォームがLumadaになり、抱え込まれることを好まない顧客にとっては最も適したプラットフォームになる」と語った。
Lumadaを使ったソリューションで収益を
東原社長は「Lumadaそのもので売上げを立てようとは思っていない」とし、2018年度のプラットフォームの売上収益は3300億円と全社売上高から比較しても規模は小さい。だが「稼ぐのはフロントのソリューション事業。Lumadaを日立自らが利用して、社内改善につなげるとともに、これを活用したノウハウを身につけて提案をしていく活動にも取り組む。今後3年でIoTプラットフォームの基盤を築いて、Lumadaを核に位置づけ、ソリューションで収益を得られるようにしたい」と語る。
「ITと連携させることで付加価値をさらに高める事業は、中核事業に位置づける」と語る東原社長は、Lumadaの活用とともに、それを活用する日立の社員のマインドセットを変えることで、2018中期経営計画による体質改善と成長戦略を実行していくことになる。
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