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山根博士の海外モバイル通信 第295回

360度カメラは4Kが当たり前? VRにおける中国メーカーの勢い

2016年06月02日 19時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

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 VRブームが来そうな2016年ですが、VRコンテンツの拡充も望まれます。なかでも360度撮影カメラは自分で撮影した静止画や動画をVRコンテンツ化できる優れもの。リコーの「THETA」に続き、サムスンからは「Gear 360」が発売予定。しかし、実は中国メーカーもこの分野の製品開発を進めています。

カメラを5個搭載した「PE-1」

 中国でVR関連を手掛けるEbeeii社の「PE-1」は球体型の360度カメラ。Ger 360よりひと回り大きいサイズで、三脚に取り付けて利用できるようになっています。特徴はカメラの数。本体の側面と上、合わせて5つのカメラを搭載しています。それぞれ800万画素で、4K(30fps)解像度の動画を撮影することが可能とのこと。

高精細な動画撮影が期待できる

 撮影した静止画、動画はカメラ本体内で合成され、Wi-FiまたはBluetoothでスマホへ転送します。もちろんスマホ側からカメラのオン・オフやシャッター操作なども可能。本体にはmicroSDスロットもあるので、スマートフォン無しでも単体で撮影・保存が可能。発売は年内予定で価格は未定。ですが、リーズナブルな価格で発売される予定とのこと。

360度カメラ専業のベンチャー、Perfantの「Eyesir」

 Perfantの「Eyesir」はすでに中国で販売されている360度カメラ。カメラは2つで4K(30fps)解像度での撮影が可能。本体には小型のディスプレーを備え、撮影時間や残りのストレージ容量、Wi-Fi強度などを確認できます。同社によると「世界初のPCレスVRストリーミング対応」だそうで、単体で撮影した360度の動画をそのままストリーミングで配信することが可能とのこと。価格は定価で7000元(約11万7000円)と高価なのはそのあたりの機能を搭載しているからでしょうか。

1万円の低価格360度カメラ「Eyesir Mini」

 こちらのEyesir Miniは機能を落とすとともに小型化した製品。中国のクラウドファンディングサービスで資金調達に成功し、6月から生産開始予定。画質は2Kに落ちますが十分でしょう。価格もその分大幅に安く、699元(約1万1700円)。本体サイズは70×43×23ミリ、重さは98グラムと持ち運びも十分できる大きさ。発売されれば360度カメラの利用者が急増するかもしれません。

8K動画にも対応する? Idealensのカメラ

 単体で使えるディスプレー内蔵のVRグラスを開発しているIdealensは、カメラ4個を備えた360度カメラの試作モデルを発表しています。現地説明員いわく4K解像度での動画撮影も可能だそうですが、パンフレットなどには「8Kx4K60fps」の記述もあり、より高解像度な映像も扱えるようにするようです。本体は3Dプリンターでの成型品で、製品化時は形状はよりスタイリッシュになるとのこと。360度カメラの高性能化も今年一気に進むのかもしれません。

VRブームは中国から来るのか?

 これらの製品は5月に上海で開催されたCES Asia 2016で見かけたもの。これ以外にも数社が360度カメラを出展していました。もちろんVRヘッドマウントディスプレーやVRゴーグル、VRグラスの出展企業も多数。前回深センのVRゴーグル事情を書きましたが、中国のVR市場はいま急激に盛り上がりを見せているのです。

多数のVRコンテンツも登場する中国

 CES Asia 2016ではVRコンテンツを提供するプロバイダーも複数社が出展。多くの来訪者が各社のVRグラスを装着して、VRコンテンツを楽しんでいました。ネットに無料で公開されているVRコンテンツはどれも中国語のものばかり、なんて時代がやってくるかもしれません。

VR体験マシンもこれから急増しそう

 会場ではVRをリアルな体験に近づけるVR体験マシンもいろいろなものが登場し、デモに使われていました。日本ではサムスンがジェットコースターを楽しめる可動式の椅子をイベント会場でデモしていますが、中国ではさらに本格的なものも登場しています。これらの機器を製造するメーカーも増えそうで、中国のVR事情はこれからかなりおもしろいものになりそうです。

山根康宏さんのオフィシャルサイト

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