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ITベンダー中心の34社でBCCC発足、金融だけでなく幅広い領域へのブロックチェーン適用狙う

「ブロックチェーン推進協会」設立を促した“危機感”とは

2016年04月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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優れた暗号化技術などを持つ国内大手企業にも参加を呼びかけている

 もう1人の副理事長であるカレンシーポートの杉井氏は、国内におけるブロックチェーン実証実験の実施状況や事例などを紹介した。国内でも、昨年後半からフィンテックを中心に多くの実証実験が行われている。

杉井氏が示した実証実験のリスト。昨年10月から約半年で、すでにこれだけの実証実験が発表されている

銀行の勘定システムを想定したテックビューロの「mijin」実証実験、カレンシーポートによるスタンプラリー形式の仮想通貨大規模配布実験など先進事例も紹介

 また杉井氏は、ブロックチェーン関連の基礎研究においても、日本が先行している分野があると説明した。たとえば、ブロックチェーンのエンタープライズ活用で必須となる高度な暗号化技術(秘密分散ストレージ、秘匿検索/秘匿計算)では、国内大手企業の研究所が先進的な技術を保有している。

 「ただ、これらの技術が表に出てきていない。ブロックチェーン(との連携)という文脈でも語れない。非常にもったいないと思っている。今回は間に合わなかったが、こうした大手企業にもBCCCへの参加を呼びかけている」(杉井氏)

ブロックチェーンに適した暗号化の基礎技術を持つ国内大手企業へも、BCCCへの参加を呼びかけているという

 今回の発起メンバーの顔ぶれを見ると、独立系のITベンダーやフィンテックスタートアップなどが目立ち、国内の大手ベンダーや大手ユーザー企業はまだそこにいない。だが平野氏は、今回はスピード感を優先して設立しており、大手ベンダーやユーザー企業からも「いい反応」は得られていると語った。

 「今回、(大手企業にも)お声がけをしており、いい反応をいただいている。ただ、企業規模が大きいと社内の意思決定にも少し時間がかかる。したがって今後、そうした企業の参加も増えてくるものと見ている」(平野氏)

* * *

 今後、BCCCの取り組みが影響力を持つようになるかどうかは、ひとつには大手ITベンダーや大手ユーザー企業の参加動向に左右されるのではないだろうか。その意味で、ブロックチェーンの国内状況に対する“危機感”を共有する大手企業が多く現れるのかどうか、要注目といえるだろう。

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