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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第352回

インテルCPUロードマップ 2016年中に10nmプロセスを量産、7nmは2019年 

2016年04月18日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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2014年~2017年までのインテルCPUロードマップ

モバイル向けのKaby Lakeは早ければ第3四半期に投入
デスクトップ向けは2016年末か?

 2つ目の話はKaby Lake絡みである。今年3月にインテルがSEC(米証券監督官庁)に提出した2015年度分のFORM 10-K(日本では有価証券報告書に相当するもの)は上場企業の義務として同社のサイトで公開されている

 さてこのFORM 10-Kの中で、インテルは公式にTick-Tockを放棄したことを表明した。

Tick-Tockを放棄したことを表明した。これからはProceess/Architecture/Optimizationの3段階となる

 この図に添えられた説明は“Advanced in out silicon technology have enable us to continue making Moore's Law a reality. In 2014, we began manufactureing our 5th generation Intel Core processor family using out 14nm process technology. In 2015, we released a new microarchitecture(out 5th generation Intel Core processor family), using our 14nm process technology. We also plan to introduce third 14nm product, code-named "Kaby Lake." This product will have key performance enhancements as compared to our 6th generation Intel Core processor family. We are also developing 10nm manufactureing process technology, our next-generation process technology.”

 (我々の先進的なシリコン技術はムーアの法則を現実のものとしている。2014年に我々は第5世代Intel Coreプロセッサーを14nmプロセスを利用して製造開始した。2015年には、新しいマイクロアーキテクチャーを採用した第6世代Intel Coreプロセッサーを、やはり14nmプロセスで製造した。)

 (我々は3つ目の14nmプロセスを利用して製造する製品を、Kaby Lakeというコード名で予定している。これは主要な性能を、第6世代Intel Coreプロセッサーより引き上げる予定である。)

 (さらに我々は次世代のプロセス技術として10nmの製造プロセスを開発中である)となっている。

 ちなみにその理由としては“We expect to lengthen the amount of time we will utilize our 14nm and our next-geneation 10nm process technologies, further optimization our products and process technologies while meeting the yearly market cadence for product introductions.”

 (我々は14nmプロセスと次世代の10nmプロセスについては、より長期間マーケットで利用されることを予定している)としているが、これは「モノは言い様」の見本のようなもので、要するに10nmプロセスの開発が難航していることを事実上認めたようなものだ。

 加えて、単に14nmだけでなく10nmでもより長期化すると明言しているのは、7nmプロセスに関してももう難航することが見えているので、先手を打ってやはり3年以上かかることを認めてしまったようなものだ。

 今の予定ではインテルは「早ければ」2016年中に10nmプロセスを利用しての量産が開始される予定であり、そこから考えると7nmは「早くても」2019年に利用できるかどうか、というあたりになる。

 もっとも実はこれも怪しい。真偽は明確ではないのだが、今年2月にThe Motley Foolにある記事が掲載された。

 内容は? というと、インテルがFab 28(イスラエル)における求人広告を出したのだが、その中に“Fab 28は現在22nmプロセスでの製造を行なっているが、だいたい2年以内に10nmプロセスの製造を始める(will begin production on 10nm in approximately two years)"という文言があったことだ。

 この求人広告が出されたのは今年1月21日のことで、最悪は2018年1月まで10nmの量産が遅れる可能性があるという指摘である。もっとも記事を書いたAshraf Eassa氏自身も、そもそもFab 28で最初に量産が開始されるとは限らない(普通に考えればオレゴンのD1だろう)ことを指摘しており、実際には2017年中旬に生産がスタート、本格的な量産に入るのは2017年末~2018年頭だろう、と予測している。

 さらに補足記事もあり、この中でEassa氏は"インテルのPRチームより、最初の10nmプロセスでの量産は2017年の後半を予定している"としている。

 この記事の信憑性が確認できない、そもそも氏に連絡を取ってきたというインテルのPRチームの名前が不明なのだが、正直なところとしていまだに14nmの歩留まり向上に手間取っている模様で、その状況で10nm世代が今年中にリリースできるか? といえばかなり怪しい。

 現実問題として10nmは2017年後半、というのは状況を見る限りは納得できるスケジュールであり、そこから逆算するとKaby Lakeの投入はなるべく遅いほうが好ましい。

 ということで話を製品の方に戻すと、モバイル向けのKaby Lakeは早ければ第3四半期(ただしUあるいはYといった、モバイル向けの超低消費電力版のみ)に投入され、メインストリーム向けのHやデスクトップ向けのS/Cといったものは、早くて2016年末。現実問題としては2017年にずれ込むのではないかと思われる。

 当然当初出るのはCore i7とi5のみで、Core i3あるいはPenitumは2017年にずれ込むのは必須とみなすべきだろう。というわけで、一応図ではCore i7とi5のみ2016年末と表記している。

 ちなみにこの他のものとしては、2016年2月にインテルはCherry Trail系の製品をいくつか追加している。Atom x7-X8750とAtom x5-Z8330/8350/8550の4製品であるが、いずれも型番がZであることからわかるとおりモバイル(というか、Smartphone/Tablet)向けであって、PC向けにはまるで考えていないようだ。

 今のところBay Trail-Dの後継は特に考慮されていないようである。実際性能的にはPentium/CeleronのグレードであってもCoreシリーズでないと難しい、というのはインテルもよく理解できたようで、今後Atom系列がデスクトップに入る予定はなさそうである。

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