前回のAMD GPUアップデートは1月だったので、まだ2ヵ月少々ではあるのだが、新しい情報がいくつか入ったこともあるので、整理の意味もこめて説明しておきたい。
Dual Fijiこと
Radeon Pro Duoを発表
米国時間の3月15日、AMDはCapsaicinと呼ばれるイベントを開催した。昨年から赤色にこだわるネーミングが続いており、RadeonのドライバーにはCrimson(真紅)とつけているわけだが、Capsaicinは唐辛子の辛味成分である。
もっともCapsaicinそのものは白色の結晶なのだが、なにしろ唐辛子といえば赤ということで、このあたりから選ばれたのではないかと思われる。「ピリリと辛い赤」といったところだろう。
Capsaicinと呼ばれるイベントは2016年のGame Developer Conferenceにあわせる形で開催されており、その様子はYouTubeで視聴できる。ちなみにほぼ2時間のビデオなので、見る場合はその長さを覚悟しておいたほうがいい。
このイベントで、AMDはかねてから噂されていたDual Fiji構成のRadeon Pro Duoを発表した。Radeon R9 Fury Xと比較すると、やや全長が長くなっているのがわかるが、おおむね同等の見かけだ。
カードは2つのFijiチップに、両者をつなぐPLXのPCIeスイッチ、それと電源回路×2という構成だ。同じデュアル構成でもRadeon R9 295 X2では基板に所狭しとGDDR5チップが配されていたことを考えると、(電源や放熱の問題を別にすれば)トリプルチップ構成すら可能だろう。これを専用の水冷ヘッドでまとめて冷却する仕組みだ。
ちなみに補助電源コネクターは8ピン×3という凄まじいものになっている。これは左上の画像でも確認できるが、Capsaicinイベントに併せて公開されたシステムへの装着例からも確認できる。
Radeon Pro Duoは、演算性能は合計で16TFLOPSとされている。つまりFiji1個あたり8TFLOPSという計算になる。もともとFijiチップの場合、1050MHz動作で最大8.6TFLOPSと発表されており、逆算すると最大975MHzほどで駆動されているものと考えられる。
ちなみに、3月31日にAMDはこのRadeon Pro Duoをベースとした、Fire Pro S9300 x2をリリースしている。
こちらはMax Powerを300Wの枠に抑えるためか、性能はピークで13.9TFLOPSと発表されており、逆算すると最大でも850MHz程度に動作周波数は抑えられている模様だ。
Radeon Pro Duoの消費電力(Max PowerもしくはTDP)は未公表であるが、8ピン×2+6ピンではなく8ピン×3になっていることから、Max Powerは450W以上525W未満と考えられる。
以前筆者が試したときには、R9 Fury Xの消費電力は多いときで250W弱といったところであり、Radeon Pro Duoでは若干動作周波数も抑えられているので、最大でも500W未満(450Wをやや越えるあたり)ではないかと思われる。
このRadeon Pro Duoは1499ドルで発売というのはすでに発表されているが、正式な出荷時期はまだ未定である。
これはVRヘッドセット向けのカードという扱いであり、Oculus Riftがさらに出荷が遅れているということで、それにあわせてなのかどうか、今のところ正確な出荷時期は不明である。
一応今年第2四半期中の出荷であることは公表されており、現実的には4月末もしくは5月になると思われる(図では一応4月とした)。

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