NICTとNTT東日本は、千葉県香取郡神崎町において、ICTを活用した認知症高齢者等の捜索模擬訓練を、3月27日に実施する。
2020年に全国で700万人を超えると予測される認知症高齢者の見守りは、国や地方自治体が抱える重要課題。特に年間1万件を超える徘徊による行方不明者対策が強く求められている。
地域の住民と企業が連携して見守る「SOSネットワーク」とともに、徘徊高齢者を捜索するICTサービスなども多数整備されている。しかし、「携帯端末の小型・軽量化」「バッテリ駆動の長時間化」「月額料金の低廉化」に課題があるという。
それらを解消すべく、今回の訓練では「Wi-SUN」を活用する。
Wi-SUNは、国内では920MHz帯の周波数を使うことが決められた免許不要無線システム。建物等で遮へいされた箇所であっても、あるいは数百メートルから1km近く離れた場合であっても、検知されやすいのが特徴。
訓練では、神崎町社会福祉協議会が実施する徘徊高齢者への声かけ訓練に、ICTによる高齢者見守りシステムを組み込み、「人とICTが連携する新しい訓練」に挑戦する。
具体的には、(1)徘徊高齢者役がタグを所持し、町中のルータに電波(Wi-SUNビーコン)が検知されると、本部で位置情報が把握できる、(2)徘徊高齢者と遭遇しそうな索協力者役を自動抽出し、スマホに徘徊高齢者役の特徴を含め、捜索協力を通知する、(3)捜索協力者役が徘徊高齢者役の数十メートル以内に近づいた場合に、スマホに特別な通知を行う。
これらを活用しながら、町民による徘徊高齢者等への「声かけ」を目的とした訓練とする。そうして認知症高齢者も安心して暮らせるように、「様子がおかしい」もしくは「困っていそう」な高齢者に対して、皆が気軽に声を掛け合えるまちづくりを目指すとしている。