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200万社が参加する調達ネットワークサービス、日本でも成長が始まる

「調達のデジタル化」は何をもたらすか、SAP Ariba社長に聞く

2016年03月25日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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アリバがSAPにもたらした「クラウド時代のマインドセット」

――SAP買収によって何らかのシナジーが生まれたと思います。アリバがSAPから受け取ったシナジー、その逆にアリバがSAPにもたらしたシナジーは何だと思いますか。

 まずは「アリバが得たもの」から話そう。大きく2つのベネフィットが得られたと考えている。1つは「テクノロジー」、もう1つは「企業としてのスケール」だ。

 テクノロジー面では、たとえば「SAP HANA」プラットフォームが挙げられる。アリバでは、このHANAプラットフォームを高速なアナリティクス機能の提供で活用しており、顧客満足度が大きく向上した。また、SAPという規模の大きな企業の傘下に入ったことで、すでにSAPが浸透している顧客に対してアリバもリーチしやすくなった。

 反対に「アリバがSAPにもたらしたもの」もある。クラウド時代の「新たなマインドセット」だ。われわれは、SAPをクラウドベースの企業に変革していく“先鋒”の役割を果たしていると自認している。

 マインドセットの変化の中でも、特に重要なのは「成功の定義」だろう。クラウドのビジネスにおいては、提供したソリューションを活用して「顧客が成功を収めること」が、われわれにとっての成功ともなる。これまでは、数カ月かかって構築したシステムがゴーライブになる(稼働開始する)ことがマイルストーンだったが、現在はそのシステムを使って顧客が取引を行うことがマイルストーンだ。

 また「イノベーションのスピード」に対するマインドセットも変化した。過去の(オンプレミスの)システムとは異なり、アリバでは1カ月に1回は新機能がリリースされる。これに伴い、カスタマイズするのではなく提供される機能をそのまま使う、という顧客側のマインドセットの変化も生じている。

 もっとも、SAPもアリバももともと「顧客重視の企業カルチャー」を持っていた。その両社が一緒になったことは、お互いにとって良かったと思っている。

日本企業のサプライチェーンを「デジタル化」していく

――日本でも大きく成長しているという話でしたが、あらためて日本市場における成長戦略をお聞かせください。

 現在、日本市場では2つの変化が起きており、アリバにとっては非常に良いタイミングを迎えていると考えている。「日本経済が変革を遂げつつあること」、そして「企業の中で調達の役割が見直され、重要視されつつあること」だ。後者については「CPO(最高調達責任者)」の役職を設ける企業も出てきている。

 特に日本市場では、バイヤー企業とサプライヤー企業の関係が密接だ。アリバのサービスを通じてこれを“デジタル化”することで、さらに良い絆を作っていけるだろう。

 あと、日本市場ではすでにコンカーが成功を収めている。昨年、日本で開催されたコンカーのイベントには1000名以上の来場者があった。一方で、アリバのイベントは200名だった。日本の企業も、だんだんとクラウドに対してオープンになってきており、他方で「デジタルエコノミー」につながりたいという気持ちも芽生えているはずだ。

 ――ただ、わたしは負けず嫌いなので、アリバのビジネスを5倍に伸ばして、今年のイベントではコンカーに負けないようにしたいと思っているよ(笑)。

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