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SAP S/4 HANA時代に向けたトランスフォーメーションが進行中

クラウドやグローバル人材は?SAPジャパンの福田社長が振り返る

2015年08月04日 15時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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8月4日、SAPジャパンは社長記者会見を実施し、就任から1年を経た代表取締役社長の福田譲氏がビジネスの現状について説明した。福田氏は、SAPのビジネストランスフォーメーションが堅調に進むと共に、SAPジャパンとしての成長の姿を披露した。

クラウドへのトランジションモードが板に付いてきた

 ERPの老舗であるSAPは、現在大きなトランスフォーメーションの最中にある。オンプレミスからクラウドへ、レガシー系の業務システムから、イノベーション系のニューアプリケーションへという戦略の中、一時的な利益率の低下、変革のための人材の再配置といった“痛み”を見越し、前進を続けている。

SAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏

 記者会見に登壇した福田氏は、同社のコアアプリケーションである「SAP Business Suite」での収益がすでに4割になっている現状を説明。SAP HANA、Sybase、Business Objectなどのプラットフォーム分野が4割まで拡大しているほか、Success FactorsやAribaなどのクラウドアプリケーション分野、Concur、Fieldglassなどのビジネスネットワーク分野も急速に延びている状況だという。「3兆円におよぶM&Aは完了し、現在は技術統合と提案の推進を進めている状態」と福田氏は語る。

SAPの変革、事業領域とポートフォリオ

 2015年上半期のビジネスはグローバル、日本とも好調で、特にクラウド分野はグローバルで92%増、日本では152%と著しい伸張を見せている。第2四半期の同期比を見ると、その流れがさらに加速していることが明らかで、「(クラウドがオンプレミスを上回ると予想されている)2018年を待たず、北米ではクラウドビジネスがオンプレミスの事業を超えている。トランジションモードが板に付いてきた」(福田氏)という状況になっているとのことだ。

社長就任時に明らかにした5つのフォーカス分野の進捗は?

 福田氏は1年前の社長就任会見で、「SAPジャパンのGlocalization」「グローバルインダストリーのビジネスユニット」「ERPへの再フォーカス」「クラウド」「SAP HANAプラットフォーム」という5つのフォーカス分野を明らかにしている。今回の会見では、これらの進捗も明らかにした。

 まずSAPジャパン自体のGlocalizationに関しては、新卒営業社員全員を米国のシリコンバレーに派遣。Global Sales Academyというプログラムで、6ヶ月間みっちり研修を行なっているという。当初は「日本人同士で固まるし、コミュニケーション能力も低い。日本人は帰ってほしい」と言われたほど苦戦したようだが、ミニMBAのようなプログラムを受けたり、各国の新卒社員と寝食を共にしてコミュニケーション能力を磨いた。これにより、「あきらかに顔つきが違う」(福田氏)という人材として戻ってきたという。また、ドイツ本社のみならず、開発拠点のシリコンバレーに駐在を設置し、日本との連携を深めているとのことだ。

Global Sales Academyで新卒営業全員をグローバル人材として武者修行させている

 また、グローバルインダストリーの分野では、公共事業統括本部や自動車産業統括本部などを設立すると共に、世界の事例や技術を日本市場に適用させ、顧客やパートナーとともに革新的なソリューションを共同開発する「SAP Industry 4.0 Co-Innovation Center」を設置したという。

 さらに後半の3つのフォーカス分野に関しては、SAP S/4 HANAをコアにフレームワークを整備。Success Factorや日本での導入も検討されるFieldglassなどのタレントマネジメント、ビッグデータ&IoT、サプライヤー間をつなぐ企業間ネットワーク、カスタマーエキスペリエンスなどの5分野に注力しているという。

SAPのデジタルフレームワーク

SAP S/4 HANAの価値をビジネス側に訴求

 現在、もっとも大きく注力しているのが、23年ぶりに刷新したSAP S/4 HANAだ。ハイパフォーマンスなデータ分析プラットフォームとしてスタートしたHANAは、次のステップとしてトランザクションDBの機能を統合。すでに昨年のERP案件の8割以上がHANAで稼働しており、データの集約・削減によってコスト削減、ひいては戦略分野へのコスト移行を実現しているという。従来のように、事前準備を施さなくとも、生データに対して直接トランザクション処理をリアルタイムに行なえるため、経営会議自体も大きく変わるという。

SAP HANA Platrform

 そして、現在では未来予測型ITやIoTなどイノベーションプラットフォームに向けた機能がSAP HANAでは拡充されている。技術者コミュニティも拡がっており、Tech JAMも500名規模の参加が得られているという。「技術的な課題の検討はすでに終わっていて、活用するわれわれの発想にかかっている状態」と福田氏は指摘する。

 クラウドポートフォリオも拡がっており、AWSをはじめとしたマルチクラウドでの利用はもちろん、「SAP HANA Enterprise Cloud」や「SAP HANA Cloud Platform」「Business Suite」、各種SaaSなどの展開も加速しているという。また、21社のパートナー企業とコンソーシアムを組んで、日本独自のビジネスへの適用、アドオンへの対応を進めるほか、5社からSAP S/4 HANAのERPテンプレートを用意している。

SAP HANAをベースとしたクラウドポートフォリオ

 今後は「IT主導のイノベーション」「Business Valueフォーカス」「投資拡大&人材育成」をビジネスフォーカスとして掲げる。「今まではHANAの性能の高さを訴求しすぎたかもしれない」(福田氏)とのことで、テクノロジー面でのメリットより、ビジネス変革のドライバーとしての価値を経営層やビジネス層に訴求する。

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