そんなSZ5。世界中を飛び回り取材を続ける、ジャーナリスト西田宗千佳氏は「レッツノート SZ5は“いい意味で保守的な道具”だ」と評価する。常に進化するパソコンやデジタル機器の世界にあって、変わらない側面も持つ仕事。そのために使う最高水準の道具がレッツノート SZ5だととらえているようだ。
西田さんから一言
レッツノート SZ5は保守的ノートパソコンとしてベストな選択肢。保守的というのは製品として長年熟成され、培った価値があるという意味。デジタルの時代になっても、いい万年筆を選びたいと考える人がいるように、プレミアムな価値を提供する。
とても保守的なパソコン、しかしそれは良い意味!
(レッツノート SZ5を見た)第一印象として、すごくよくまとまっている。突っ込みどころがない製品だと感じました。仕事のために“パソコンを持ち歩かないといけない”。この状況は何も変わっていません。“どんなパソコンを持ち歩くか”の選択肢は増えた。でも選択肢が増えたからといって、誰もが特別なパソコンを選ばないといけないわけではありません。
仕事は意外に保守的な面を持っているものです。そして“保守的な道具”は必ず何か信頼できる要素を持っています。例えば万年筆がずっと万年筆であり続けるように、長年吟味して培われた価値があると思います。
レッツノート SZ5は道具として“極めて保守的”です。保守的というと「新しくなく、つまらない」という意味にとる人もいると思います。そうではなく、信頼でき、壊れにくく、パソコンに求めることを確実に不足なくこなせるという意味です。製品としては長年の熟成されていて、使い勝手もよく考えられています。
一方で中身は革新的で、重量は最新。堅牢性も維持。スピードもこのクラスでは申し分ないという点がポイントになります。
レッツノート SZ5を数日使ってみて、改めて感じたのは、これを取材先に持ち出し、原稿を書く際に「〇〇が足りない」というエクスキューズはほぼない。パソコンを昔からある保守的なスタイルで使いたいと考えるユーザーに対して、ここまで高い完成度を提供できる製品はそうそうないと思います。さらに今回はドライブが付いていてこの軽さ(900g台)という点にも驚きがあります。
本体は薄ければ薄いほどいいのは確かですが、重量バランスがよく、液晶ディスプレーのヒンジをどの角度に開いても倒れない。ふたや特殊なギミックがないから、ポート類にも壊れる要素がないです。これもいい意味で保守的です。仕事の道具であり、信頼性を重視するのであれば、本体はコネクターと合わせた厚さにして、壊れづらく余裕がある内容にすべきです。より薄い製品は、用途が異なるマシンになるはずです。タッチがあるパソコンとないパソコンで製品ジャンルが異なるのと同様です。
楔形ではなく箱型の本体だから光学式ドライブが内蔵できるという面があるし、空冷にも余裕が出るので、発熱も気になりません。CPUは標準電圧版から低電圧版へと変更になりましたが、2日間使い続けた範囲で、CPUの負荷が上がりすぎることもありませんでした。第6世代Core i(Skylake)プロセッサーを搭載した良さが出ていると思います。
オーソドックスだが、入力操作のしやすさも感じる
キータッチも吟味されています。底打ちした際に、ぐんにゃりと動かず、硬く安定しています。ここ数年のレッツノートの傾向を反映しつつも、過去の機種で感じた強く押した際の沈み込みによる打鍵感の悪さがなくなりました。
ストロークの深さもいいところです。打鍵感は使い手の好みが出る部分だとは思いますが、レッツノート SZ5はクッションがあるので音は小さめです。これは大きなポイントで、新幹線でペチペチやったり、議事録でペチペチと大きな音を立てずに済む。最近では薄型のノートが増え、ストロークが少ないキーボードも増えてきています。薄型のキーボードでは、力を入れなくて押せる反面、音がペチペチと大きくなるというデメリットもあります。興に乗ってキーボードを叩いていると非常にうるさく感じるノートが増えているのです。
あとは一周回って、タッチパッドが良くなった、古典的な使い勝手でストレスも少ないと思います。丸型のタッチパッドはスクロールなどのジェスチャー操作がしやすいし、適切なサイズで不用意に触ってしまうこともなくなりました。WindowsのタッチパッドはMacに比べてできが悪い面もあり、大きすぎると誤タッチして思わぬ場所にカーソルが飛んだりする。だからマウスを持つという人が多いのでしょう。