2016年がスタートした。昨年(2015年)は春先に格安SIMの相次ぐ容量アップが行なわれ、高速通信容量あたりの価格が大幅に下がる一方、リアルな受付窓口の拡充や一般向けに浸透するなど、1年の間に格安SIMのサービスに大きな変化があった。
そこで2016年はさらに大きな動きがあるのか、それとも2015年からはあまり変化なく行くのか、どうなるのか占ってみたいと思う。
格安じゃないほうのケータイの動向
年の終わりに突如として湧き上がった、政府から既存大手キャリアへの値下げ要請。しかし月額費用だけを見れば、格安SIMに並ぶほど下がるとは考えにくい。
一方で、スマートフォン機器を本当にゼロ円で提供する「一括ゼロ円」というような提供がなくなれば、機器代を含めたトータル費用でも、格安SIMよりもずっと高くなってしまう。
肝心の料金はといえば、ソフトバンクが発表した追加料金プラン(関連記事)のように、ほとんど使わない人向けに少し安いプランが出る可能性はある。ただし、普通に使っている分にはほとんど支払い額は変わらないのでは? という状況になるかもしれない。
格安じゃないほうの既存大手キャリアの値下げが進めば、格安SIM側もそれに連動するような値下げなどの動きがあるはずだが、大手が値下げをしなければ格安SIMに大きな変化は期待できないだろう。
格安SIMはリアル窓口が増える
今年予想しているのは、MNPなどの手続きが可能なリアル受付窓口を持った格安SIMがさらに増えるということ。
格安SIM大手のIIJmio、実際にはIIJmioのサービスをほぼそのまま取り次いでいるだけと言えるBIC SIMは2014年からビックカメラの一部店舗に窓口を設置しているが、2015年はそのほかの格安SIM事業者、違う家電量販店チェーンにも波及している。
また、家電量販店店頭ではなく、独自店舗を持った格安SIMもある。楽天モバイルのように楽天モバイルだけ扱う専売店を開設し、自らスマートフォン機器を販売。既存大手キャリアショップ並みに時間をかけて説明してくれる窓口を持った格安SIMもある。
格安な通信料金と明朗なスマートフォン価格が既存大手キャリアと異なるが、スマートフォンとSIMをセットで購入でき、十分な説明も行なわれるのは大手キャリアショップと同じ。
十分な説明があるため、混雑すれば非常に長い待ち時間がかかってしまうことまで同じというのは残念だが、誰でも格安SIMに加入しやすいという点で、これからもっと流行ると思われる。
また、格安SIM加入と同時のスマートフォン販売もさらに加速すると予想している。既存大手キャリアのように端末を極端な低価格で提供することにはならないとは思うが、スマートフォンを家電量販店で単体購入するよりも若干安く提供するような例は増えると思われる。
SIMが届いてからの回線切替えが常識に
2015年の夏くらいから広がっているのが、ネットでMNP新規で申し込んだ場合、SIMがユーザーの手元に到着してから回線切替ができる制度だ。
従来はドコモMVNOの場合、一部を除いて事業者側で切り替えてからSIMを発送してくれたため、切り替えた瞬間から電話番号は使えなくなり、宅配便などでユーザーに届くまでの最低一晩から数日は使えない時間があった。
それが、SIMが手元に届いてから切り替える方式になることで、電話番号を同じまま事業者を乗り換える「MNP」での契約でも、電話番号の発着信ができない時間がわずか数分まで大幅に短縮された。これでネット経由でも気軽にMNPの申込ができるようになった。
ただ、筆者はそれよりもリアル店舗でのMNP手続が注目されると考えている。店舗で回線切替からSIMの発行まで一括して行なってくれるため、自分の電話番号の発着信ができない時間も最短に抑えることができるのは同じで、その場で動作確認したり、有料となる場合もあるがスマートフォンの通信設定までやってくれるところもあるからだ。
多少の待ち時間があったとしても、質問しながら開通できるのが便利で、これから格安SIMにチャレンジする層にはマッチしていると思う。
(次ページへ続く、「特徴あるサービスや他の組み合わせが増える」)
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