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GRID 2.0では性能も集積率も2倍に引き上げ!クラウドでの利用も

グラフィック面で厳しいVDIをNVIDIA GRIDは救えるか?

2015年12月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月17日、NVIDIAはGPU仮想化技術「NVIDIA GRIDプラットフォーム」と仮想デスクトップに関する発表会を行なった。グラフィック面で難を抱えるVDIのデメリットを解消すべく、サーバー側の仮想GPU(vGPU)との連携を提供する。

GPUの欠如でVDIの価値を損なわれている

 発表会で登壇したジェレミー・メイン氏はクラウドの浸透、ワークスタイルの変化、膨大なデータとセキュリティ、デバイスの多様化などITの現状について説明。エンタープライズコンピューティングの未来として、業務アプリケーションをさまざまなデバイスで、ハイパフォーマンスで提供できる環境が必要と指摘した。

NVDIA GRID事業 グラフィック・バーチャライゼーション リード・ソリューション・アーキテクト ジェレミー・メイン氏

 こうした環境を実現する1つの形態がネットワーク経由でPCのデスクトップを配信するVDIだ。しかし、従来のVDIはGPUへのアクセスが欠如していなかったため、リッチなグラフィックが損なわれており、すべてのユーザーにとってメリットのあるものでなかった点を指摘。「仮想アプリケーションはニッチで、一部のユーザーしか使えないものになっている」(メイン氏)と述べ、特に3Dエンジニアリングや設計、PLM(製品ライフサイクル管理)、WebのリッチメディアなどをVDIで動かす際には、GPUの活用が重要になると説明した。

VDIにリッチなグラフィックを提供するGPUの有効性

 メイン氏は、VDIのグラフィックスオプションについて説明する。初期の仮想デスクトップのようなCPUのエミュレーションや、その後登場したハイパーバイザーのドライバからGPUを共有する方法では、アプリケーションの互換性が低いという問題があった。また、複数のユーザーでサーバーのGPUを利用するため、性能面でも劣化する結果となった。これを解消すべく、NVIDIAではゲストVMからハイパーバイザーをバイパスし、サーバーのGPUを直接利用できる「GPUパススルー」の技術を導入したが、こちらも物理的に搭載できるGPUに限りがあるため、密度に課題があったという。

VDIのグラフィックオプション

 これに対して2年前にNVDIAが発表したのが「NVIDIA GRID」と呼ばれるGPUの仮想化技術だ。これはサーバー側の物理的なGPUを複数のVDIインスタンスで共有する技術。NVIDIA GRIDのソフトウェアとNVIDIA TESLAを搭載するサーバーで構成されており、規定のリソースをプロファイル化し、VDIのインスタンスごとに割り当てることができる。

 物理GPUのリソースは仮想GPU(vGPU)としてVDIインスタンスごとに利用できるため、サーバー側での高速なレンダリングが可能になる。メイン氏は、ソフトウェア3DとNVIDIA vGPUとの処理能力の違いをデモで披露し、ナレッジワーカーやパワーユーザー、デザイナーまで幅広い用途をカバーするNVIDIA GRIDのメリットをアピールした。

ソフトウェア3DとNVIDIA vGPUのデモを披露

集約率と性能を2倍に高めたGRID 2.0はクラウドでも

 後半ではエンタープライズビジネス事業部の澤井理紀氏がNVDIA GRIDの事例を披露した。NVIDIA GRIDの導入で1日30~50分の業務時間の節約につながった病院やCADアプリを仮想デスクトップ化した大学、70~80のモデルをVDI環境で実現した建設会社の海外事例などが紹介された。

NVIDIA Japan エンタープライズビジネス事業部 澤井理紀氏

 国内でも事例は拡がっている。日産自動車ではNVIDIA GRIDとシトリックスのXenDesktopで3D CADアプリケーションのVDI化にチャレンジ。CADデータを日本に置いたまま、重たいCADを使った業務をグローバルで行なえるようになっているという。また、TOTOはCAE環境のワークステーションを仮想化し、CAEリソースをデータセンターに一元化。さらにネットワンシステムズはジャパン マリンユナイテッドの設計部門で、3D CADのVDI化を推進した。ワークステーションの部屋に移動しなくても、3D CADを利用できるようになり、出張コストの削減や生産性の向上を実現したという。

 今秋には集約率や性能が2倍に高め、新たにブレードサーバーやLinuxに対応した「GRID 2.0」をリリースしている。ハードウェアではメモリを増大したMaxwell GPU搭載のNVIDIA TESLA M6/M60」をサポート。澤井氏はグラフやデモを見せながら、仮想マシンの集約や性能がほぼ2倍になっていることを披露した。

集約率や性能が2倍に高められたGRID 2.0

 また、現状はオンプレミスでの導入が多いが、パブリッククラウドとしての利用も可能。Microsoft AzureやIBM SoftLayerなどがNVIDIA GRIDをサポートしており、特にAzureはGRID 2.0の対応をいち早く表明しているという。今後、DaaS(Desktop as a Service)の領域でこうしたGPU仮想化技術が普及すれば、クラウドの付加価値につながりそうだ。

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