今回は半年ぶりにNVIDIAのGPUのロードマップアップデートをお送りしよう。前回は、GM104コアがなくなってしまったあたりの話をしたので、今回はその続きから始める。
GeForce GTX 980/970/960がリリース
まず2014年9月にGeForce GTX 980がリリースされた。同じタイミングで、若干シェーダーの構成と動作周波数を変更したGeForce GTX 970もリリースされており、これはGeForce GTX 780/770をそのまま置き換える形になる。
ダイサイズは398mm2で、GK104コアの294mm2に比べると一回り大きいが、幸いにTSMCの28nmプロセスが若干コストを下げたこともあり、ダイサイズの差ほどにはコストは上昇していない。
特にGeForce GTX 780の場合はより上位のGK110コアを使っており、こちらは561mm2という巨大なものだったので、これに関してはむしろコスト削減につながったという言い方もできる。
また、Keplerと比べて若干内部構成を変更するとともに、Double Precision(64bit演算)のサポートをばっさり切ったことで、シェーダー(CUDA Core)はGK104の1536個をはるかに上回る2048個となり、GK110の2880個にはおよばないものの、GeForce GTX 780の2304個と比べるとそう大きな違いではない。
効率を改善した結果として動作周波数もGeForce GTX 780の900MHzからGeForce GTX 980では1.1GHzまで引き上げられ、シェーダーの数の差をここで埋め合わせできた形になる。
性能は加藤氏のレポートにもあるように、GeForce GTX 780 Tiと比べても若干の底上げがあり、GeForce GTX 780比なら3割アップといったところで、プロセスが28nm据え置きのままにしては良い仕事をしたというべきだろう。
これに続き、2015年1月にはメインストリームの下の方を狙ったGeForce GTX 960がリリースされる。
搭載されるのはGM206コアで、CUDA CoreはGM204のちょうど半分にあたる1024個。その分ダイサイズもほぼ半分の227mm2になった。こちらは特に問題もなく、順調に開発が完了、出荷された感じがある。むしろトラブルになったのはGM204コアのGeForce GTX 970だった。
→次のページヘ続く (3.5GB以上メモリーを使うと遅くなるGTX 970)

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