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年間1万人以上が見学する、パナソニックの家電リサイクル工場とは

2015年12月04日 11時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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回収率を引き上げることはまだまだ可能

 今回、「平成27年度資源循環技術・システム表彰」において、経済産業大臣賞を受賞したのは、こうした一連の樹脂選別技術の先進性が認められたものだ。

 PETECでは、こうした先進的な技術と設備の導入により、現在、リサイクルへの全投入重量に対して、有価で売却できる素材としての回収率は、冷蔵庫で87%、エアコンで96%、薄型テレビが91%、洗濯機が91%。冷蔵庫は断熱ウレタン材を燃料化するサーマルリサイクルを含めれば98%に達しているという。

 「回収率を引き上げることはまだまだ可能だと考えている。それに向けた研究開発および設備投資を行なっていきたい」(パナソニック エコテクノロジーセンターの北平吉浩社長)としている。

パナソニック エコテクノロジーセンターの北平吉浩社長

パナソニックが描く循環型モノづくりの姿

 また、これらの設備を通じて、廃棄物の削減は2014年度実績で年間1657トン改善、再生樹脂としての利用は年間950トンに達しており、そのうち約半分をパナソニックグループで活用。再商品化率は7.4%となっている。

 再生された樹脂は、先に触れたように、PPでは冷蔵庫の内部部品や、エアコンの室内機のフィルター枠。ABSでは携帯電話の充電台など利用されている。

再生材を使用して生産された冷蔵庫のトップテーブル

近赤外線による再生ではエアコンのフィルター枠にも使用

近赤外線で選別したABSは携帯電話の充電台に使用

ドラム式洗濯機の台枠の再生材を使って生産

食洗機の様々な部品でも活用されている

 PETECでは、2016年1月を目標に、冷蔵庫の新たなリサイクルラインを稼働させる考えも明らかにした。設備投資は約5億円で、現在の処理能力の1.6倍に高まるという。

 「冷蔵庫の扉にガラスを採用する製品の増加によって分別が複雑になったり、断熱発泡剤などをノンフロンタイプとする機種が6割以上となり、可燃性への対応が必要になった。現在はタクトタイムを落として作業しているが、それでは処理が対応しきれなくなってきた。これまでは1日500台規模だった処理台数は、来年1月からは1日800台規模になる」という。

 また、洗濯機では斜めドラム洗濯乾燥機が増加してきたこと、エアコンではR32と呼ぶ冷媒を使用する製品が増加してきたことにも対応していくという。

 さらに、近赤外線を活用した選別機器は、すでにパナソニックエコテクノロジー関東が導入。今後、中部地区のリサイクル拠点である中部エコテクノロジーへの導入を検討していることも明らかにした。


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