CA Technologiesは11月30日、アプリケーションのテスト工程を効率化する「CA Test Data Manager」と「CA Test Case Optimizer」の提供を開始した。テストデータとテストケースの作成/管理を自動化し、テスト期間の短縮に加えテスト品質も高める狙い。
CA Test Case Optimizerは、アプリケーションテストにおける要件を外部ドキュメントのインポートにより収集し、分析してテストケースをビジュアル化(フローチャート化)するとともに、網羅性の高い自動テスト実行を可能にするスクリプトを生成するツール。
CA DevOps&アプリケーション・デリバリー ディレクターの渡辺隆氏は、これまでのテストケース作成では、要件があいまいで本当に必要なものとは異なるテストケースや、あらゆるケースがきちんと網羅されていないテストケースが作成されてしまい、不十分な結果や手戻りが生じていたことを指摘。Test Case Optimizerにより、そうした課題を解消できることを説明した。
Test Case Optimizerでは、関係者全員が理解しやすく要求をフローチャートでビジュアル化するほか、ここから完全なテストケースを自動生成し、テストにおけるボトルネックを排除する。テストの網羅率やテストにかかるコストを事前に見積もる機能も備える。「最小の労力で、最大の効果をもたらす」(渡辺氏)。
ちなみに、テストツール生成のためにインポートできるのは、業務分析ツールやテストツール、汎用ドキュメント(Microsoft Excel、Visio、Wordなど)のデータ。また生成するスクリプトは、「Selenium」や「HPE Quality Center」「IBM Rational Functional Tester」といった、オープンソースソフトウェアおよび商用のテスト自動化ツールに対応している。
もう1つの新製品、Test Data Managerは、テストデータの生成を支援するツール。本番データソースからのデータインポート、高速なマスキング、不足データの分析や生成といった機能を備える。また、開発者やテスト担当者らが自らテストデータを生成、取得できる「セルフサービスポータル」も提供する。
渡辺氏は、たとえばこれまで金融業界の顧客では、大規模なテストデータを必要としており、その一方でマスキングで保護すべき個人情報や機密情報が多いため、データの準備作業だけで5週間、6週間かかっていたと説明した。Test Data Managerでは、これを数分~数時間程度に短縮できると紹介した。
個人情報やカード番号などのデータマスキングにおいては、データ項目(カラム)ごとに、ランダムな文字列のほか桁数指定の数列、日付、姓名、メールアドレス、クレジットカード番号など特定の形式に合致するランダム値での置き換えが可能。さらに、「たとえば姓が『西野』ならば、よみがな項目は『にしの』を入力する」(プリンシパル・コンサルタントの西野寛史氏)という具合に、ひも付けのある複数項目のマスキングも設定できる。
また、本番データから抽出したデータを多次元的に分析することで、テスト要件を満たすために不足しているデータをビジュアル化。不足データを自動生成する機能も備えている。
なお、データソース(本番データの取得元)は主要なRDB製品やDWH製品、さらにExcelシートやCSV、XML、HTML、Swiftなどにも対応している。
今回提供を開始した両製品について、渡辺氏は「わたしが言うのも何だが、結構地味な分野の製品。ただし、ここにかなりの時間を費やしているのも現実」と述べた。2つの製品が自動化による大幅な時間短縮を実現することで「DevOpsのサイクルをより早く回していくことができる」(渡辺氏)ため、CAとして注力するDevOps支援がより強化される。
ターゲット顧客としては、メインフレームとオープン系システムの組み合わせ環境でこれまでテストに時間がかかりすぎているような顧客(情報システム部門やSIer)、ビッグデータ/IoTなど大量のデータを使ったテストが必要なマーケティング担当者などを挙げている。