海外ではでは日本で知られてない新興メーカーから毎月のように新たなスマホが発表されています。今回紹介する「Meitu」はカメラに特化したスマホを数々送り出してきたメーカー。しかも、セルフィーの利用に重視した製品ばかりを販売しています。2015年11月27日に発売された最新モデルの「V4」は、なんとフロントに2100万画素カメラを搭載しています。史上最強のセルフィースマホとも言えるV4を送り出したMeituは、デジカメにも進出するなどこれから注目を浴びるメーカーになりそうです。
Meituのスマホの最大の特徴は高画質なフロントカメラ。すでに2014年頭に発売した「M2」は背面、正面ともに1300万画素のカメラを搭載していました。最新モデルのV4はそのカメラ画質が前後2100万画素と最強レベルまで引きあがっています。発表会では「iPhone 6sは500万画素、その4倍以上の高画質」とアピールしていたそうです。確かにここまで高画質だと「フロントカメラを使うと画質がちょっと落ちるんだよね」なんて話を聞くことも無くなりそうです。
Meitu V4の本体デザインは上下部分に角のある独特の形状をしています。これはカシオがおもにアジア地域で販売している女性向けのセルフィーカメラ「TRシリーズ」のデザインをインスパイアしたものでしょう。カシオのそのカメラは日本ではなぜか受け入れられませんでしたが、アジアでは女性の間に大人気。縦長六角形=セルフィーカメラというイメージを確固たるものにしています。
正面にはフラッシュも搭載。こうなるともはや背面カメラを使って自分撮りする必要は一切なくなりますね。ちなみに、カメラモジュールはソニー製でF値2.2、画角は78.2度。富士通セミコンダクターのイメージングプロセッサ「Milbeaut」を採用し、さらには自社開発のノイズリダクション技術「Meitu M-LAB」により暗闇でも美しいセルフィーを手軽に撮影できるとのこと。
チップセットは「MT6795」(オクタコア、2GHz)、メモリー3GB、ストレージ64GB。OSはAndroid 5.1で自社開発のUIを搭載した「MEIOS2.5」を搭載。ディスプレーは5インチAMOLEDでフルHD解像度。対応SIMはナノSIMです。価格は3499元(約6万7200円)と値が張りますが、カメラ性能を考えると納得いくものかもしれません。
セルフィーカメラスマホとしての地位を着々と築き上げているMeituですが、それには飽きたらず、なんとデジタルカメラも発表しています。製品は2種類で、ひとつはミラーレスカメラ、もうひとつは小型のセルフィーカメラ。どちらももちろんMeituブランドとして発売され、Meituのスマホのカメラを補佐するように使えます。しかし、カメラまで手掛けるということは、Meituはスマホメーカーからデジタルイメージング機器メーカーへと事業を拡大しようとしているのでしょう。
コンパクトカメラと1眼レフカメラのちょうど中間サイズともいえる「BF1」は1600万画素のミラーレスカメラ。現時点で判明しているスペックは本体サイズが83×66.9×51.2ミリ、228グラム。ISO12800まで対応、動画は4Kが30fps、1080pが60fpsで撮影可能。レンズは交換式で、付属レンズは14-42mm/F3.5-5.6となる模様。もちろんWiFiを搭載しMeituのスマホや他社スマホとの間でファイルの送信が可能です。
交換レンズのフォーマットは独自規格ではなくマイクロフォーサーズ。つまり、オリンパスやパナソニックなどから販売されている市販のマイクロフォーサーズレンズと自由に交換が可能なのです。真面目にレンズの拡張性を考えているだなんて、MeituのBF1はかなり本気でつくられたカメラと言えるでしょう。なお、価格は現時点では未定です。
そもそもMeituのスマホを買うユーザーはセルフィーなどカメラを使うことに興味がある女性が多く、BF1のように「よりいい写真を手軽に楽しめる」カメラに興味を示してくれそうです。また、BF1は男性にとってもカバンの片隅に入れておいて、スマホよりも本格的な写真をちょっと撮りたい、なんてニーズにも応えてくれそう。発売が非常に楽しみな製品です。
一方、まるで化粧品のようなデザインの「Snap1」はスマホと接続して利用するリモートカメラ。このデザインはもう完全に女性だけをターゲットにしていると言えるでしょう。カメラは1200万画素、画角は140度と超広角で集合写真のセルフィーもラクにこなせます。本体サイズは84.1×31.7×30.1ミリ、79グラムと小型軽量。ポケットにも入れておける大きさです。
Snap1は手に持って使ったり、あるいは机の上などに置いてリモートでシャッターを切るという使い方も可能です。専用のカバーも販売される予定なので、普段はカバンにぶら下げておくのがいいかも。また、別売のアタッチメントを使えばMeituのスマホの上部に装着することも出来ます。普段はV4の2100万画素カメラを使いながら、ワイドな写真を撮りたい時はSnap1を使う、なんて使いわけもできるわけです。
Meituのスマホは中国を中心にアジア各国で販売されています。日本での販売は恐らく考えられておらず、しばらくはV4やカメラを日本で見る機会は無いでしょう。しかし、海外を見ると、たとえば北米・南米ではSIMフリースマホを多数販売しているBLUから「BLU Selfie」として同社ブランドの製品が販売されています。もしかしたらMeituのV4も、名前を変えて日本のどこかの企業が自社ブランドとしてリリースする、なんてこともありうるかもしれません。セルフィーに特化し、女性をターゲットにしたMeituのスマホ。日本でもぜひ使ってみたいものです。

この連載の記事
-
第781回
スマホ
まだまだ生き残っているWikoのスマートフォン、2025年モデルを確認した -
第780回
スマホ
今度のアストンマーティンスマホは「タイヤ交換」のようなカメラ部のデザイン変更が面白い -
第779回
スマホ
深圳のOPPOストアで望遠レンズスマホを体験! 最新モデルを触ってきた -
第778回
スマホ
中国で折りたたみスマホ競争が激化、サムスンが高級モデル「W26」を発売 -
第777回
スマホ
エントリースマホが一変! HMD「Fusion」の機能性カバーが便利すぎたのでほかのスマホにもほしい -
第776回
スマホ
地下通路にズラリと並ぶ中古スマホ屋たち! 中国・重慶のスマホ市場のカオスっぷりが楽しい -
第775回
スマホ
「メイド・イン・サウジ」中東で作られたタフスマホをドバイで発見! -
第774回
スマホ
最新スマホをフライング展示、HONORのフラッグシップストアが深センに開業 -
第773回
スマホ
手のひらサイズの超小型端末「Qin K25」はキッズフォンを超えたAIスマホだ! -
第772回
スマホ
薄型スマホブーム到来、レノボやTECNOから製品が続々発表 -
第771回
スマホ
BALMUDA Phoneより小さい! HMD最新の小型端末「HMD Touch 4G」が驚異の軽量設計で登場 - この連載の一覧へ








