今まで格安SIMで使う端末といえば、自らの乗り換え元となるNTTドコモやauの端末、中古購入した端末が入手価格や機能の点でベターな選択だったが、ここ最近は実売価格が上がったり、中古相場が高騰したりと入手しやすい状況ではなくなってきた。
その一方で、SIMフリースマートフォンの単体売りが広がっており、機能面でも価格面でもオススメのものが登場している。
1万円台からも!? 最近の単体売りSIMフリー機の現状
家電量販店の格安SIM売り場やSIMフリー機の売り場が一気に広がったのはここ半年くらい。店によっては3大キャリアに迫るほどの売り場面積で展開している。家電量販店の売り場面積は流行り廃りをシビアに示していることからも、市場としても十分な規模になってきたと言える。
売り場面積が広くなったということは種類も豊富になったということで、価格も非常に安価な1万円台から5万円超までさまざまなものが並んでいる。
PCで有名なASUSや、スマートフォンメーカーでキャリアから販売されるファーウェイ、ZTEをはじめ、格安SIMブランドのものもある。国内メーカーブランドでは富士通のarrowsまで多種多様。
1万円台のスマホは数ヵ月前ならLTEも付いておらずストレージ、メインメモリーとも少なく我慢を強いられる機械だったが、最近はそうでもなくなくなっており、大画面、十分な性能のプロセッサー、ストレージ、メインメモリーを備えていることも多い。
実際、店頭で触ってみて、ブラウザーでPC向けの複雑なページを表示させても機敏な表示を見せる。一昔前ならローエンドスマートフォンといえば、何をするにももっさりで、ホームボタンを押してホーム画面が表示されるまで一呼吸あるものもあったことに比べると、現在のSIMフリースマホで十分という気になる。
また、新興勢力やSIMフリーのスマートフォンは最新のAndroid 5.1を搭載していることも多く、最新のものに触れるという点でも購入するメリットがある。
中でも、最近のトピックは富士通の「arrows M02」の発売。3万円台と玉石混交するSIMフリー機の中でも決して高くない価格ながら、国内ブランド、VoLTE対応、おサイフケータイ、強力な防水防塵と耐衝撃性を備えているところが注目の点ポイントとなっている。
OSはもちろんAndroid 5.1と新しい。arrows M02が気に入らなかったとしても、今後は対抗機種の価格や機能が充実する方向に向かう可能性もあり、非常に意義のある機種と言えよう。
一方で新製品の登場以外にも楽しみがある。特価販売だ。通信回線とセットのスマートフォン販売では、いくら安くても余計な契約がついてきて気軽に買えるものではなかった。
ところが単体売りのSIMフリー機ならいくら買っても回線はなし。購入費用はかかるが月額費用が増えることも、購入回数や回線が多すぎて加入審査に落ちることもない。
筆者が最近見た例では、大手家電量販店でファーウェイの「Ascend G620S」が1万円ちょっとという金額でワゴンセール状態だった。回線契約が必要ではなく時間がなくてもすぐ買えるため、その場で衝動買いした人もいたようだった。
高速SIMと格安SIMを切り替えて使用
SIM2枚を駆使できる端末
最近、一部マニアの注目を集めているのがSIM 2枚収容可能な端末。本来は片方を音声通話に、もう片方をデータ通信に利用できるのだが、残念ながら同時利用の場合は、音声はGSM方式のみ対応となってしまい、GSMのサービスのない日本では利用できない。
ところが、片方のSIMスロットはGSM専用という機械が多かったが、最近では両方とも同じ機能として切り替えて使えるようになってきた。
たとえばLTEの格安SIMを2枚装着しておき、必要に応じて切り替えて使用できる。高速だが高いSIMと、遅いがデータ量が無制限のSIMの2枚を装着して切り替えて使ったり、単純に切り替えて楽しみたい人も含めて何かと便利だ。
海外渡航する場合でも、国内のSIMと海外のSIMの2枚を装着しておけば切り替えて使用することができる。外でSIMを差し替える際に紛失やスロット破損や、余ったSIMの置き場に困ることがないため非常に便利だろう。
(次ページへ続く、「SIMフリー機なら余計なソフトが入っていない……とは限らない!?」)

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