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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第138回

サムスン、8Q連続での営業減益は免れたが、その中身は半導体が中心

2015年11月04日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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動画配信サービスのMilk Videoを閉鎖
Samsung Payは拡大へ

 先進国でスマートフォンブームが一巡し、単にタッチ画面を持ち、スペックを揃え、アプリストアのあるスマートフォンを作成し、マーケティングキャンペーンを展開するだけでは生き残りが難しい。Symbianの頃はさまざまなフォームファクタで勝負できたが、iOSとAndroid時代になってからは端末の個性が出しにくい。高くてもブランドを選ぶか、安価だが十分な機能を備える端末かの2極のトレンドがあり、もともとは後者に該当していたはずの中国ベンダーのブランド力もアップしている(特にHuawei、Xiaomi)。

 同時にSamsungにとってハイエンド層での戦いは苦しくなっている。AppleのCook氏は業績報告の場で、iPhoneを購入した人の30%がAndroidからの移行と語った。おそらく、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」で、それまで大画面を理由にAndroid(そしてその多くは欧米ではSamsungだろう)を利用していた人は、Appleを選んだのではないか。Cook氏によると、Androidからの乗り換えは、測定を開始してここ3年ぐらいで最高だという。ハイエンドを中心に展開してきたAndroidベンダー(HTC、ソニー)は苦境から脱せずに現在に至る。

 SamsungはOSをAndroid(Google)に頼るしかない中、サービスに軸足にするべく取り組んでいる。しかし10月、Samsungは「Milk」ブランドのコンテンツサービスでは動画サービス「Milk Video」がスタートから1年で閉鎖することを発表した。

Google Playのレビューを見る限り、そこそこ好評だったようだが、すでに11月一杯での終了が告知されている

 Milkを内包するメディアソリューションセンターはすでに今春、15%程度の人員削減が噂されていた。Milkはほかに、Music、VRなどを持つが、Rihanna(リアーナ)の次期アルバム制作に2500万ドルの出資を行うなどMilk Musicは強化していく方針だ。音楽サービス分野はApple、Google、それにSpotifyなどの専業プレイヤーがひしめく重要な分野だ。

 Samsungがもう一つプッシュしているサービスが「Samsung Pay」だ。本拠地韓国では10月末、韓国でのユーザーが100万人に達したことを発表した。買収したLoop Payの技術を活用し、磁気ストライプを用いるMST技術に対応する。9月末には米国でもスタートしており、Samsungは対応機種を拡充する計画もあるようだ。

 Samsungの決算の後、同社が人員削減を計画しているというニュースが出ている。The Korea Timesが報じたもので、主として工場勤務のスタッフが対象となり、全体の30%に相当する規模という予想もあるそうだ(関連リンク)。

 Samsungはスマートフォン側でも製品ラインの合理化も計画しているといわれおり、正念場が続きそうだ。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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