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“IBMのソーシャルおじさん”に聞いたメールの再定義と導入の顛末

40万のIBM社員をIBM Verseでソーシャル化してきた半年間

2015年10月30日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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全員CIOのようなIBM社内での展開はこうして成功した

大谷:次にIBMでの導入プロジェクトについて教えてください。導入当初はどんな感じだったのでしょうか?

ブリル:IBM Verseの導入を始めたのは、商用版として提供を開始した2015年3月30日からだ。1週目はわずか750人だけを対象としてスタートしたが、いくつか問題があった。たとえば、以前のメールを移行するにあたって、引っ越しだけでも11のステップが必要だった。これは明らかに多すぎる。

でも、CIOやIT部門で用いられているアジャイル型のアプローチを採用していたので、課題を拾いながら、ロールアウトプロジェクトを練っていった。ソーシャルのコミュニティフォーラムを作り、ユーザーからいろいろなフィードバックをもらうことにした。これにより、最終的には4ステップまで少なくできた。これはコミュニティならではの導入だと思う。

大谷:なるほど。B2Cのサービスのようにユーザーを参加させながら導入させていったんですね。

ブリル:その通りだ。われわれはこれをマーケティングキャンペーンと同じようなものと捉えた。実際、B2Cのマーケティングと同じデジタルエージェンシーにお願いし、コミュニティを作ってもらった。これにより、「自ら使ってもらいたい」というエンゲージメントを高めることができ、反応率も上がった。その結果、最初は750だった移行数が、現在では1週間で2万のメールボックスを進められるようになった。スピード感が上がってきたので、当初予定した2015年末までに移行を完了できそうだ。

大谷:社内導入する際にはいろいろ苦労もあったのではないですか? 歴史の長い会社ですし、人数もグローバルで40万人いるとのことですから。

ブリル:私がIBMのIT部門に来たのは今年のはじめだが、たまに40万人の社員一人一人がCIOのような気がしているよ(笑)。要は一人一人が使い方のポリシーを持っているリテラシの高い人たちなんだ。

「たまに40万人の社員一人一人がCIOのような気がしているよ(笑)」

そのため、最初にアプローチしたのは、エグゼクティブレベルに支援してもらうことだ。これにより、会長自らが全社に向けて新しいイノベーションを進めることを宣言してくれた。そしてエンドユーザーに対してはインセンティブが必要だと考え、メールの容量を増やした。クラウドはスケールできるので、一人あたりでメールで50GB、コラボレーションは1TBまでの容量を許容するようにした。これは十分な刺激策となったようだ。さらに、社内で宣伝してくれるアドボケートを募ったところ、約4万人がアーリーアダプターとして手を挙げてくれた。

新しいツールセットが実現する新しい働き方

大谷:半年経った今、得られたことはなんですか? リテラシも異なり、拠点数も異なるユーザーに対するアドバイスがあれば教えてください。

ブリル:われわれは学んだのは、どういったものを生み出したいのか、完成形を当初から明確にして設計するのが重要ということだ。ただ、設計したものが恒久的に同じものではないということも意識する必要がある。

IBM Verseのようなソーシャルプラットフォームを導入しようとする企業には、どのようなビジネス的なアウトプットを出したいか設計思想を明確にしておくのをお勧めしたい。IBM社内においては、「今までと違ったやり方ができるし、生産性が上がった」という実感を社員1人1人に持ってもらうことで、大きな盛り上がりになった。われわれもプロジェクトに参画した人間がほかの人に勧めたくなり、友人や同僚、顧客にまで波及するものを目指してきた。IBMの社員自体がベストリファレンスになり、お客様にそのメリットを理解してもらえるようにしたい。

「IBMの社員自体がベストリファレンスになり、お客様にそのメリットを理解してもらえるようにしたい」

大谷:IBM Verse導入の先を見越したプロジェクトの展望についてお聞かせください。

ブリル:2016年には、IBM社員にとってIBM Connections Cloudが仕事の中心になるようにしていきたい。多くのIBM社員にとって、IBM Verseの機能はまったく新しいものだ。ツールセットの統合も、今まで見たことのない連携のやり方をとっている。こうした新しいツールを活用し、業務の在り方を変えていく重要性を提唱をしたい。とにかくビジネスの結果につなげてもらうのが、われわれの当面の仕事だ。

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