日本時間の10月1日、Mac向けの新OS「OS X El Capitan」(エル キャピタン)が正式リリースされた。アップル自ら「ユーザー体験に磨きをかけ、パフォーマンスを向上させた」と言うだけあって、前OS「OS X Yosemite」に比べて一段と使いやすく動作も軽くなっている。ここでは、そのレビューと導入にあたって注意すべき点を紹介しよう。
おもな仕様 | |
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製品名 | OS X El Capitan |
対応モデル | MacBook(Early 2015)、MacBook(Late 2008アルミニウム製、またはEarly 2009以降)、MacBook Pro(Mid/Late 2007以降)、MacBook Air(Late 2008以降)、Mac mini(Early 2009以降)、iMac(Mid 2007以降)、Mac Pro(Early 2008以降)、Xserve(Early 2009) |
システム条件 | OS X v10.6.8以降、2GBのメモリー、8GB以上のストレージ空き容量 |
価格 | 無料 |
導入にあたって注意すべき点
新OSを導入するにあたっては、いくつか注意したい点がある。今回のOS X El Capitan(以下、El Capitan)はシステムの安定性を重視したアップデートということもあって、前OSからは比較的スムーズに移行できるようになっているが、新OSにつきもののアプリや周辺機器の互換性などの問題は存在する。日本語入力システムも変更されたため、ことえりのユーザー辞書なども事前にバックアップをとっておきたいところ。
そのため、インストール前には使用頻度の高いアプリや周辺機器が新OSに対応しているかどうかは事前にチェックするようオススメしたい。たとえば、10月19日時点ではセキュリティ対策ソフト「ESET Cyber Security Pro」が非対応(対応予定あり)でOSのアップグレードを控えるようアナウンスしている( 関連リンク)。また、「Microsoft Office 2016」使用時にクラッシュが頻発するという問題も発生しているようだ。筆者の環境では、新OSの上書きインストールでいずれのアプリも今のところ特に問題なく動作しているが、仕事でこれらのアプリを使用している場合は、何らかの対策が施されるまでOSのアップグレードは控えたほうがいいかもしれない。
また、El CapitanではOSに搭載されている日本語フォント「ヒラギノフォント」の仕様が変更されており、従来のOS Xに搭載されているヒラギノフォントやメーカーが販売している製品版フォントとの互換性が一部なくなっている。そのため、使用すると文字化けや組み体裁が崩れる場合がある。メーカーの大日本スクリーン製造によると、同問題についてはアップルと対応を協議中とのことなので、対応策や回避策が公開されるまで互換性のないフォントについては使用を控えた方がいい(関連リンク)。
Adobe製品については、Premiere ProやAuditionの現行バージョンでいくつか問題が発生しているようだ。筆者が確認したところ、PhotoshopやIllustrator、InDesign、Lightroomの現行バージョン(CC 2015)ではアプリの起動や基本的な動作に問題は生じなかったが、旧バージョン(CS6以前)はそのままでは起動せず、レガシーJava 6ランタイムのインストールが必要になった(ランタイムのインストール後は、起動や基本的な動作に今のところ問題は生じていない)。ちなみに、Java 6をサポートするMac用OSは今回のEl Capitanが最後になる予定で、次期OS XからはAdobe CS6以前のアプリが使用できなくなる可能性が高い(関連リンク )。
なお、メーカーによっては、いち早く新OS対応版をリリースしているところもあるので、アプリのアップデートがあれば、OSアップグレード前に適用しておくのが安心だ。また、万一のことを考えて大切なデータは外部ストレージなどにバックアップしておくようにしたい。