Netflixの日本上陸を目前とした今、動画配信サービスが活況を呈している。
8月27日にアマゾン・ジャパンが、Amazonプライム会員向けに「プライム・ビデオ」の提供を発表した。動画が見放題で、既存のプライム会員は年会費3900円に追加なしで利用できるという。提供されるタイトルや作品数は明らかになっていないが、会員であれば利用しない手はない。
だが、日本のサービスも黙ってはいない。T-MEDIAホールディングスが運営している「TSUTAYA TV」が大幅にリニューアルを果たした。
およそ4000タイトルの中から月20本見放題、というこれまでの制約を撤廃。リニューアル後は5万作品のうち、対象の動画が毎月見放題になる。対象の動画は旧作がメインだが、新作も2本までは毎月見られるポイントが付与されるという。
料金プランも一新する。TSUTAYA TVの月額933円(税別)に加え、ネット宅配レンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」とセットになったプランを月額2417円(税別)で提供する。
このリニューアルの詳細と意図について、T-MEDIAホールディングスの取締役COOの根本 浩史氏とT-SITE事業本部 映像ユニット ユニット長の横森 正樹氏に話を聞くことができた。そのときの話を交えて新たなTSUTAYA TVを紹介したい。
映画好きに対してすべての手段でアプローチ
TSUTAYA TVは2008年6月に始まったサービス。「U-NEXT」の前身である「GyaO」のスタートが2005年(ブランド名がU-NEXTになったのが2009年12月)、Huluが米国でスタートしたのは2008年12月なので、決してサービスインが遅かったわけではない。
しかし、2万本以上が見放題で月1990円(税別)のU-NEXT、1万3000本以上見放題で月933円(税別)のHuluと比べ、TSUTAYA TVの物足りなさは確かにあった。
それでも問題がなかったのは、国内だけで1461(2013年12月末時点)もあるTSUTAYAの店舗があるからだ。見たい作品があれば近くの店舗で借りてもらえればいいし、ネットでの宅配レンタルサービスも展開している。動画配信に力を入れる必要がない。では、なぜ今動画配信なのか。根本氏はこう説明する。
「我々は映画を見たいというお客様に対して、すべてのアプローチでサービスをリッチにしていく必要性がある。お店で借りたいときもあれば、今はすぐに家で見たいというニーズもある。これまでは通信環境の悪さや対応デバイスの少なさがネックだったが、今は違う。通信環境が変化し、デバイスも増えたので、動画配信にもタッチしていく。繰り返しになるが、我々のお客様は映画が好きな人。この方々に提供できる展開を増やしている」
では、逆にTSUTAYA TVに力を入れることで、店舗にユーザーが来なくなるのではないだろうか。その疑問に対し、根本氏は「やってみないとわからない」という。
「今は店舗のマーケットの方が圧倒的に大きい。動画配信はこれから。おそらくNetflixもそう思って日本に来ようとしている。およそ30年TSUTAYAを展開しており、その中で膨大なデータを溜め、お客様がなにを望んでいるかもわかっている。提供できる資産もあるので、お客様に最も良いと思われるサービスをやっていくべきだと思う。お客様にまずは、映画を見たいと思ってもらえる環境を作る。その際の選択肢は多い方がいいし、我々のサービスのうち、どれを選択するかはお客様次第だ」
(次ページでは、「新作と予告に注力した新画面」)