マイクロソフトの変革の象徴がWindows 10
平野社長は、「Windows 10は、マイクロソフトの変革の象徴ともいえる製品になる」と位置づける。
ひとつのプラットフォームで、スクリーンを持たない小さなデバイスから、大きなディスプレイを持ったデバイス、さらにはHoloLensのような新たなデバイスまで対応できること、ひとつのアプリがこれらのデバイスでそのまま動作するユニバーサルプラットフォームを実現していること。しかも、史上最高の機能を持ちながら、無償で提供されること。さらには、Windows as a Serviceと呼ぶように、新たな機能やセキュリティ機能が、常に配信されるという仕組みになっている点は、これまでのWindowsにはないものだ。
「初日に何本売れたとか、何人が並んだというような評価指標はない。それも、これまでのWindowsとは大きく異なる点」だとする。
2014年2月に、米マイクロソフトのCEOに、サティア・ナデラ氏が就任してから、「モバイルファースト、クラウドファースト」の方針が掲げられ、「いかに使ってもらうか」という点に、経営の軸足を移している。10型以下のディスプレイを持つデバイスに対しては、Windowsを無償で提供。Officeについても、iOSやAndroid向けには無償で提供を開始した。こうした施策に踏み出していながらも、先頃発表した最新決算では、構造改革の対象となっているスマートフォン事業を除けば、好調な業績となっている。
Windows 10についても、同様に、いかに使ってもらうかが軸になる。
「マーケティングの手法も、いかに買ってもらうかではなく、いかに触ってもらうか、使ってもらうかという点になる」とする。
その新たな指標でのWindows 10に対する手応えは十分のようだ。
予約数やダウンロード数は現時点では発表されていないが、「予約開始時に想定した数をはかるに超えている。最初の反応は、かなりいい」とする。
「この勢いをさらに加速させるために、一度の盛り上げ策だけで終わるのではなく、あの手、この手で市場を盛り上げたい」と平野社長は語る。今年秋からは、Windows 10に最適化した新たなPCが、PCメーカー各社から登場する予定であり、「製品発表会見への出席や、発売日に店頭に駆けつけるといったこともやってみたい」と意気込む。
そして、「HoloLensやMicrosoft Band、Surface Hubなども、がんばって日本に持ってきたい」と、日本では未発売のマイクロソフト製品の投入にも力を注ぐ姿勢を見せた。
そうしたなかでも、やはり気になるのは、Windows Phoneの投入だ。
マウスコンピューターやFREETELが、国内市場にWindows Phoneを投入しているが、キャリアとの連携したWindows Phoneの発売、あるいはマイクロソフト自らの製品投入も期待されるところだ。
「様々なデバイスメーカーから相談を受けたり、提案をもらっている。そのなかには、ワクワクするトピックもあり、それを順次発表できる」と平野社長。だが、「日本マイクロソフトが、キャリアと直接交渉し、自社製品を出すと言うところまでには至っていない」とも語る。
その一方で、「Windows Phoneによって、Windows 10で打ち出したユニバーサルプラットフォームがさらに生きるのは明らか。Windows Phoneのマーケットシェアがあれば、メリットが伝わりやすいのは事実」ともする。
「私が言うのもおかしな話だが、私自身も期待している」と平野社長。Windows Phoneの登場には、多くのユーザーが期待している。Windows 10の登場は、その流れにも弾みをつけることになりそうだ。
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