いよいよ7月29日から、Windows 10の提供が開始される。
「Windows 7」「Windows 8.1」のユーザーを対象に無償でアップグレードするという思い切った施策は、今回の「Windows 10」の大きな特徴だ。
アップグレードが基本となるため、7月29日は「発売」ではなく、「提供開始」。発売するものはその時点ではないというわけだ。日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「7月29日時点では、パッケージがない。これまでと違って、パッケージを持ってポーズを取ることができない」と笑うが、確かに記事化するにあたって象徴的な写真が撮影できない点は、報道関係者にとっても頭が痛いところだ。
そして、この無償アップグレードからスタートするWindows 10は、「マイクロソフトの変革を象徴する製品になる」と平野社長が語るように、日本マイクロソフトにとっても、初めての試みが多くなる。
そのひとつが、数ではなく、コンサンプション(消費)を重視するという評価指標の導入だ。
「これまでのように、初日に何本売れたとか、何人並んだというようなことは評価対象ではない。どれだけ多くの人にダウンロードしていただき、どれだけ使っていただけるかが重要な指標になる」と平野社長は語る。
平野社長は、7月2日に行なった2016年度の事業方針説明会で、重点施策のひとつに「販売重視から、利用価値重視へ」ということを掲げたが、Windows 10でもそれを実行することになる。
そして、平野社長は、「買ってもらうための施策ではなく、触ってもらうための施策を最重視する。そのためにどこにターゲットを置くか考えたマーケティング施策を実施する」と続ける。
マイクロソフトは、7月29日に、世界13都市で公式ファンイベント「Windows 10 Fan Celebration Event」を開催し、日本でも同日、東京・恵比寿のイベントスペースで実施する。ここで対象としたのは、「Windows Insider Program」の参加者。全世界で500万人が参加したこのプログラムには、開発者や一般ユーザーが早期検証を行ない、マイクロソフトにフィードバック。これが各種機能やユーザーインターフェースの改善に反映され、製品の品質や操作性などを高めてきた。まさにWindowsの中核ユーザーとなる人たちだ。
イベントでは、ハンズオンや各種機能を紹介するステージプログラムなどが行なわれ、まずは最も使ってほしいユーザー層に対して訴求することになる。これまでは幅広いユーザーに対して訴求するイベントが中心だったが、今回の取り組みはターゲットを明確に絞り込んだという点でも、初めての試みとなる。
「Windows 10」の入手方法
Windows 10は、7月29日から無償でアップグレードが可能だが、すべてのユーザーに対して一斉に行なわれるわけではない。最初に「Windows Insider Program」参加者、次にPC上でWindows 10へのアップグレードを予約した人、最後にアップグレード対象デバイスを持っているものの予約をしていない人といった順で、インターネットを通じてアップグレードされる。
なお、「Windows Insider Program」では、現在Windows 10 プレビュー版のISOファイルなどを配布していないため、これから新規で登録してもインストールできない点に注意が必要だ。
早めに入手できるように今から手を打つという場合には、アップグレード予約を行なった方が確実だろう。画面に表示される「Windows 10の無料アップグレードが利用可能になりました」といった旨のメッセージをクリックし、指示に従えばWindows 10のインストールが可能となる。この無償アップグレードは、7月29日から1年間に渡って提供される。
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