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ローカルに強いクラウド事業者はグローバルな事業者に勝てるのか?

AWSやグーグルに対抗!欧州最大のクラウド目指すドイツテレコム

2015年06月26日 06時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 クラウド市場でアマゾン(AWS)やグーグルに対抗すると聞くと「不可能では?」と返したくなるかもしれない。だが、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)は本気だ。日本でも国産のクラウド事業者がそれぞれの強みで支持を集めているように、欧州最大の通信事業者であるドイツテレコムも「欧州最大のパブリッククラウドビジネスに成長させる」と意気込む。

 ファーウェイ(Huawei Technologies)が6月、ドイツ・ミュンヘンで開催したイベント「Huawei Europe Innovation Day」では、ドイツテレコムグループのクラウド事業者、T-SystemsのIT担当ディレクターを務めるフェッリ・アボルハッサン(Ferri Abolhassan)氏が講演を行った。両社は以前から提携関係にあるが、2015年3月のCeBITでプライベートクラウド分野における提携を発表し、今回はその提携をさらにパブリッククラウド領域にも拡大している。

T-SystemsのIT担当ディレクター、フェッリ・アボルハッサン(Ferri Abolhassan)氏

 T-Systemsでは、およそ10年前からクラウド関連サービスの提供を開始しており、ロイヤル・ダッチ・シェル、ダイムラー、ティッセンクルップなどの大手欧州企業を顧客に持つ。ただし、これまでプライベートクラウド分野を中心に展開してきたが、パブリッククラウドにはさらなる潜在性があるとアボルハッサン氏は語る。現在のクラウド分野の売上は10億ユーロだが、これを2018年には20億ユーロ、つまり「2倍にする」というのが目標だ。

バックボーンとしてのクラウドに求められる「5つのポイント」

 パブリッククラウド分野における戦略は、具体的にはどういうものなのだろうか。

 アボルハッサン氏は、音楽や動画などのマルチメディア、ショッピング、コミュニケーションやソーシャルネットワーキングなど、さまざまな日常の活動がクラウドに移行しているトレンドに触れ、次はビジネスがクラウドを活用して効率化や価値を最大化する番だと語る。その例として、T-Systemsがこれまで手がけてきた、自転車メーカーのキャニオン(CANYON)の“コネクテッドサイクル”、生鮮食料品のオンラインショッピング、ハンブルグ港のスマート貨物・物流システムなどが紹介された。

 「デジタル化により、より多くのデータを収集できる」とアボルハッサン氏は述べ、さまざまなものがつながることで、データの収集と活用によるビジネスがこれまでにないチャンスを得ると説明した。この動きを、小型化/低価格化するセンサー、モバイル通信の普及と高速化、安価かつ大容量になるストレージ、データ分析などの処理能力の改善などが支える。「データを中央に格納し、処理される――クラウドはデジタル化のバックボーンだ」。

 では、そのバックボーンに求められる要件は何だろうか。アボルハッサン氏は、1)拡張性、2)信頼性、3)安全性、4)シンプルさ、5)価格、という5つのポイントを挙げ、T-Systemsが提供するクラウドサービスにおける取り組みを紹介していった。

 1)の拡張性については、ドイツ最大のデータセンターを開設したうえ、データセンターの“ゼロタッチ”化、すなわち無人化を実現している。自動化によって効率を最大化でき、さらなるメリットも得られるからだ。

 2)の信頼性においては、「停止ゼロメソドロジー」を土台とした“Made in Germany”品質を売りとしている。「ファイブ9(99.999%)の稼働率でも不十分。年間にすると3分間の停止時間が生じるからだ。われわれの上位30社の顧客のうち、過去2年間に大規模なインシデントを経験していない企業の比率は80%を超える」。停止ゼロメソドロジーでは、プラットフォームの冗長化により単一障害点をなくすなどの対策を講じており、こうした対策のためにもクラウドは非常に効果的だという。

 3)セキュリティにも大きな特徴がある。クラウドで懸念されるデータのプライバシーやセキュリティについてはドイツの規制を適用し、さらに予防から検出、対応までエンドツーエンドのセキュリティ対策を講じている。同社は600名以上のセキュリティ専門家を抱え、180のハニーポットを利用して毎日80万件の攻撃を検出しているそうだ。

 中でもデータプライバシーについては、米国政府の情報傍受活動がスノーデン氏の告発により明らかになったこともあり、欧州企業の関心と懸念は高い。ドイツにデータセンターがあり、ドイツの法規制が適用されることは、ドイツおよび欧州の企業に対する大きなアピールポイントとなる。

 そして4)シンプルさ、5)求めやすい価格については、ファーウェイとの提携により実現する。同社サービスのポイントとしては、開発環境やPoC/テスト環境のプロビジョニング高速化、OpenStackベース、そして高レベルな仮想化と自動化、運用効率化による利用料金の安さが挙げられるという。クラウド市場では激しい料金競争が展開されており、料金は重要な要因となる。アボルハッサン氏は、ファーウェイと組むことで「グローバルクラスの競合事業者と同レベルの価格を実現できる」と述べる。

 前述のとおり、ドイツテレコムでは2018年に現在の2倍、20億ユーロの売上をクラウド分野で上げることを目標としている。「(そのために)年間20%以上の成長率で拡大し、欧州をリードする企業向けのクラウドプロバイダを目指す」。プレスリリースではAWSやグーグルを名指しして、「インターネット企業に強く対抗するポジションとなる」と野心をあらわにしている。

 ドイツでは、アマゾンやフェイスブック、グーグル、ウーバー(Uber)といった、米国インターネット企業のビジネスを好まない向きが一部にあり、ドイツテレコムは「地元企業」として、そうした風土を活用するようにも見える。さて、結果はどうなるだろうか。

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