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クラウドファーストの時代に先行者利益の強みを活かす

クラウドインテグレーターNo.1を目指すテラスカイの事業戦略

2015年06月04日 17時30分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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ナンバーワンを目指すための5つの方向性

 今後の戦略として、テラスカイでは「パブリッククラウド事業への積極的な投資」「クラウドMSP市場の確立」「クラウドERP市場の創造と収益化」「グローバルマーケットへの進出」「IoTへの取り組み」という5つの方向性を打ち出している。

テラスカイの方向性

 「パブリッククラウド事業への積極的な投資」に関しては、「大量のデータを活用する領域は、Salesforceが弱い部分」とし、「ここにはAWSを活用し、適材適所の形でいいものを組み合わせた提案を行なっている。だが、AWSに対するニーズは我々の予想を上回る勢いで発生し、人員を少しずつ増やしても、需要に追いつきそうにないため、サーバーワークスに出資し、34%の株式を取得した。サーバーワークスは、世界に28社しかないAWSのプレミアパートナーの1社であり、AWSの需要にも対応できる体制を整えることができた。これによりハイブリッドクラウドソリューションを提供できる」(佐藤氏)とした。

適材適所を組み合わせたハイブリッドクラウド戦略

 「クラウドMSP市場の確立」では、サーバーワークスとともに、MSP専業会社の「スカイ365」を設立したことに言及。テラスカイ 執行役員 AWS事業部 事業部長の藤井徳久氏は、「まだMSPに取り組む会社が少ない。クラウドの利用が進展するなかで、今後、重視されてくるのが運用フェーズ。スカイ365では、運用、効果検証を担うことで、テラスカイグループ全体として、クラウドのライフサイクルのすべてをカバーできるようになる。このサイクルの質を高めたい」と述べた。

テラスカイ 執行役員 AWS事業部 事業部長 藤井徳久氏

 「クラウドERP市場の創造と収益化」としては、テラスカイ 執行役員 ERP事業部事業部長の椿正義氏が、「クラウドの適用業務範囲が拡大し、ビジネスの中核業務もクラウドファーストの時代になっている」と語り、「当社では、Salesforce.comの上で動作する富士通のGLOVIA OMを活用。会計システムや在庫管理といった、他の企業システムとの連携を、当社製品であるSkyOnDemandによって実現。オールインクラウドモデルを提唱している。クラウドERPに対する引き合いは多数あり、今後も人員を増やしたい」と語った。

テラスカイ 執行役員 ERP事業部事業部長 椿正義氏

 「グローバルマーケットへの進出」においては、テラスカイ グローバルアライアンス部部長のジェイソン・ダニエルソン氏が説明。「テラスカイは、米サンノゼに拠点を置き、北米市場向けにビジネスを行なっている。Salesforce.comのビジネスをみると、日本は2番目の市場規模を持つが、1番の市場である米国市場は、日本の7倍の規模がある。われわれは直接、現地法人を置くことで、その市場を取りに行っている」と語る。

テラスカイ グローバルアライアンス部部長 ジェイソン・ダニエルソン氏

 また、日本以外のApp Exchangeを通じた販売も行なっており、SkyVisuaEditorは、全世界で55万ユーザーが利用しているという。セールスフォース・ドットコムが主催しているDreamforceにも、テラスカイは4年連続で出展しており、「今後も米国市場向けの展開を強化していく」(ダニエルソン氏)と述べた。

 「IoTへの取り組み」では、テラスカイ 取締役 製品事業部部長の松岡弘之氏が、「データソース、収集・集計、分析・可視化という3つの領域をワンストップで提供できる企業が少ない。提供できたとしても価格が高いものしかない」と現状を説明。「テラスカイは、SkyOnDemanodを活用することで、機器やコントローラーとの接続を、低価格に、簡単に、短期に行なえる。すでにBEMSや医療分野でも実績があり、医療機器のログデータをSalesforceで管理して、機器の異常を事前に検知し、予防保守ができるといった提案も行なっている。今後数年はクラウドの世界においてもIoTは重要な動きになる。ここには積極的に投資していきたい」とした。

テラスカイ 取締役 製品事業部部長の松岡弘之氏

セールスフォース・ドットコムの売却はない

 佐藤社長は、「専業のクラウドインテグレーターでは、現在でもナンバーワンのポジションにあると考えており、これを維持したい。マラソンに例えれば、先頭集団の先頭にいたいと考えている。先頭にいると視界が開ける。つまり、どの方向に進めばがわかりやすい。そして、いろいろな相談を受けられる立場にいることにもなる。一方、技術は重要であり、それを追求することも大切だが、ここにきて潮目が変わり、クラウドに関する製品や技術の話題よりも、どうやって使っているのかということに関心が変わってきている。技術は追うが、どうやって顧客に利益を還元するのか、どうやってイノベーションを起こすのかということに取り組みたい」と語った。

 なお、同社に出資している米セールスフォース・ドットコムが買収されるとの報道が出ている点については、「(米セールスフォース・ドットコムのCEOである)マーク・ベニオフの性格からして、マイクロソフトに売却するとは思えない。マイクロソフトに売却することないと断言していい」とコメント。Microsoft Azureに関しては、「取り扱う可能性もあるが、いまの時点では具体的な計画はない」と語った。

 佐藤氏は、「早いうちに、社員規模で1000人の規模にしたい。売上高、利益率を達成したい。いまやクラウドファーストが常識になり、ここからしか新たなテクノロジーが生まれていない。10年後にクラウドが主流かどうかは予測できないが、クラウドに対するニーズがある限り、成長していきたい」と述べた。

 なお、テラスカイでは、7月9日に、東京・日本橋のコングレスクエア日本橋において、同社初のプライベートイベント「TerraSky Day 2015」を開催するという。セールスフォース・ドットコムの川原均社長の基調講演のほか、厚切りジェイソンでお馴染みのテラスカイ グローバルアライアンス部部長のジェイソン・ダニエルソン氏も特別講演に登場する。

発表会に登壇したテラスカイの面々

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