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業界が期待したOS移行に伴う“サーバー特需”は生まれず

Windows Server 2003移行の遅れ、JEITAの企業調査で顕在化

2015年05月30日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 電子情報技術産業協会(JEITA)は、308件のユーザー企業を対象に実施した「ITユーザートレンド 2014」を発表。同調査によって、IAサーバーの仮想化用途での利用が急速な勢いで進展している一方で、Windows Server 2003のサポート終了に伴うシステム移行が遅れている現状などが明らかになった。

レポートを手に説明する、JEITA プラットフォーム市場専門委員会・西崎亨副委員長=三菱電機インフォメーションネットワーク 技術統括部技術企画部担当部長

 JEITAのユーザー調査は、1999年から継続的に実施しているもので、ユーザー企業におけるシステムの変化、あるいはITトレンドに対する意識の変化などを読みとることができる。今回の調査は2014年12月に実施され、従業員1000人以上の回答企業が43%を占めている。

JEITA「ITユーザートレンド 2014」の調査対象

IT投資意欲は「堅調な推移」、企業の注目ITテーマは?

 2014年のIT投資予算は、前年に比べて「増加する」と回答した企業が28%で、前年調査の34%から減少。その一方で「減少する」と回答した企業は15%となり、こちらも前年調査の16%から減少した。「投資増加意向は若干減ったが、一方で減少意向も少なく、堅調な推移が続いている」(JEITA プラットフォーム市場専門委員会・副委員長 西崎亨氏)。

2014年におけるIT投資スタンス。前年比で「増加する」「減少する」とも微減で「横ばい」スタンスが増えた

 IT化関連テーマへの注目度(複数回答)では、「運用コストの削減」が最も高く59%を占めたほか、「ネットワークセキュリティ」についても57%が注目テーマと回答。昨年の調査に引き続き、この2つの項目に注目が集まっていることが示された。

IT化関連テーマの注目度(複数回答)

 また、ここ数年、「サーバー統合化」や「仮想化システム」が高い関心を集めているが、ここにきて「システム統合化」に対する関心が高まっており、JEITAでは「業務システムを含めたシステム統合化が、次なるテーマになるだろう」と分析している。なお「ビッグデータの活用」や「BIの活用」は、話題性とは裏腹に取り組み実績が低く、たとえばビッグデータではわずか7%の企業しか利用していない。ただし、年を追うごとに利用率や注目度は上昇しているという。

 なお、サーバー統合はすでに69%の企業が実施、また仮想化も64%の企業が実施している。仮想化システムで求められるサーバーとしては「高機能なラック型サーバー」や「ブレード型サーバー」が挙げられており、特に高機能なラック型サーバーのなかでは「大量のメモリが搭載できるサーバー」に加えて、「多重ネットワーク接続機能を搭載したサーバー」が急速な勢いで注目を集めているという。

サーバー統合/仮想化に取り組む企業の割合推移。いずれも6割がすでに取り組んでいる

 2014年度のIAサーバー出荷実績をみても、単価が上昇しているのは高機能サーバーであり、全体の出荷台数が前年割れとなるなかで、300万円以上の高価格帯IAサーバーは前年比53%増と、約1.5倍に増加している。

 クラウドサービスの利用状況では、パブリッククラウドの利用率は33%、プライベートクラウドの利用率は23%に達しており、年々利用率は増加している。

 IT基盤の最適化についての課題では、「IT基盤が複雑化し、運用要員やコスト面で苦労している」という回答が最も多く、「導入/改変する場合の手間がかかる」、「ITセキュリティ面で不安が残る」、「旧システムの移行が困難」などの声が上位にあがっている。

Windows Server 2003からの移行、「間に合わない」企業21%

 サーバーの購入状況を見ると、61%の企業がこの1年以内にサーバーを購入している。そのうち、86%の企業がWindowsを搭載したIAサーバーを購入。また、外付けストレージは43%の企業で購入したという。

 ここで注目されるのはWindows Server 2003のサポート終了に伴う影響だ。今回(2014年12月時点)の調査においては、「すでに移行が完了した」企業が26%、「2015年7月のサポート終了時までに完了させる」とした企業が39%、その反対に「サポート終了までには間にあわない」とする企業が21%、「そのまま使い続ける」企業も6%だった。

 JEITAではさらに、「サポート終了までに移行を完了させる」または「サポート終了までには間に合わない」と回答した企業を対象に、特別に追加調査を実施した(2015年4月実施、有効回答数187社)。

 この追加調査では、12%が「移行を完了」、37%が「7月までに移行を完了する」と回答した一方で、やはり33%が「サポート終了時までには間に合わない」とし、さらには計画を変更して「そのまま使い続ける」とした企業も9%に達している。

Windows Server 2003サポート終了対策についての調査。移行する方針だったが「そのまま使い続ける」に変更した企業も9%

 この結果、7月までに移行が完了する見込みの企業(「移行完了した」と「7月までに移行を完了する」の合計)は、2014年12月よりも今年4月のほうが減少(65%→57%)したことになる。4割以上の企業で、7月までに移行が完了しないことになり、Windows Server 2003サポート終了に伴うシステム移行の遅れが顕在化した格好だ。

 JEITA西崎氏は、その原因を「移行に伴う開発量が予想以上に多いこと」だと分析する。

 「移行に伴う開発量が予想以上に多く、移行が遅れているとした企業が42%、開発量の増大に伴い、予算確保の問題が発生したとする企業が34%、同様に開発量の増大を背景に要因不足が生まれたという企業が20%に達している。多くの企業が移行に苦労していることが浮き彫りになった」(西崎氏)

 また、いわゆる“延命措置”のソリューションが各社から提供され、これを活用して移行を先送りにする企業が増加したことも、移行の遅れに影響しているとみている。

(→次ページ、業界の期待を裏切り“サーバー特需”はなし

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