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より長寿命で安価な燃料電池の開発のためのワンステップ

燃料電池の白金触媒の挙動をリアルタイム観察する手法を開発

2015年05月18日 16時37分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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微粒子化した白金触媒は化学反応を継続していると粒子が大きくなって性能が低下してしまう

 トヨタ自動車は5月18日、水素燃料電池の触媒として不可欠な白金の反応性低下を調べるため、リアルタイムで白金の挙動を観察できる手法を開発したと発表した。

水素燃料電池における白金触媒の役割 

 水素燃料電池では触媒として白金(プラチナ)が不可欠の素材だが、使用していると触媒性能が低下(劣化)する。反応面積を増やすために微粒子化した白金粒子が次第に大きくなるためだが、これまでこのプロセスは電子顕微鏡で観測できなかったため研究が進んでいなかった。

透過型電子顕微鏡での観測のための、MEMSデバイス技術を応用した超小型のサンプルを開発した

 トヨタでは、一般財団法人ファインセラミックスセンターと共同で、透過型電子顕微鏡で白金の挙動を解析するためのサンプルを作成し、化学反応を起こした状態で白金微粒子が移動して合体する姿を捉えることに成功した。

カーボン担体の上で白金微粒子が移動して合体する姿を捉えることに成功

 白金微粒子の粗大化させない技術の研究はこれからということになるが、水素燃料電池の寿命延長に加え、燃料電池のなかでも高いコストを占める白金の使用量を抑えることは重要だ。また、水素燃料電池だけでなく各種化学産業・排気ガス浄化に用いられていることを考えれば重要な技術となりそうだ。

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