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原子1つずつしか作れず、世界に数十秒しか存在しない物質の化学分析、いったいどうやって

世界初、半減期27秒のローレンシウムの化学的性質を実験で確認

2015年04月13日 20時11分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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103番元素が解く周期表のパズル:ローレンシウム(Lr)のイオン化エネルギー測定に成功

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構は4月9日、103番目の元素「ローレンシウム」のイオン化エネルギーの測定に世界で初めて成功し、ローレンシウムでアクチノイド元素群が終了する事などを証明した。

ローレンシウムは周期表で最下段のアクチノイド元素群に属している(ひとつ上がランタノイド元素群)

 元素番号100を超える超重元素は自然界には存在せず、原子炉や加速器で作られるものの、その半減期は非常に短い。103番元素ローレンシウム(Lr)は加速器で1度に1個または数個の原子しか生成することしかできず、また半減期27秒という短命な元素なため、その化学的性質はほとんど分かっていなかった。

 日本原子力研究開発機構や欧州原子核研究機構などの研究チームは、加速器でホウ素ビームをカリホルニウム標的に衝突させ、できたローレンシウム粒子をヨウ化カドミウムのジェット気流に乗せてイオン化するという手法を考案。ローレンシウムのイオン化エネルギーを計測した。

タンデム加速器から飛び出したローレンシウム粒子をジェット気流でイオン化、磁界に通すという計測手法を用いた

 ローレンシウムはアクチノイドに属することは理論的に1940年台に推測されていたが、今回世界で初めて実験で確認したことになる。また、最も外側の電子は非常に緩く結合していることが判明し、周期表から予想されるよりも異なる値電子軌道を取っていることが示唆されるなど、超重元素の理解に対する新たな知見も発見されたという。

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