ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)にとっては念願の発売だろう。中国で「PlayStation 4」(PS4)と「PlayStation Vita」(PS Vita)が3月20日に発売された。
インターネット上では「Amazon中国(卓越亜馬遜)」やECサイト最大手の「天猫」、家電に強いECサイトの「京東商城」で発売するほか、リアルショップでは、北京、上海、広州、成都のソニーの代理店から発売されている。
値段は、PS4の普通版が2899元(約5万8000円)、PlayStation Camera同梱版は3299元(約6万6000円)、PS Vitaは1299元(約2万6000円)となっている。つまり日本版の価格より高い。外国向け製品より中国向け製品のほうが値段が高いのは、17%の増値税なる税金が主たる原因で、PS4に限った話ではない。
さかのぼること2014年1月、中国国務院は2000年に発表した通称「44号文件」こと、外国製ゲーム機販売禁止令「電子遊戯経営場所専項治理意見的通知」解除を発表した。
すでに中国製のスマートデバイス向けやPC用オンラインゲームが受け入れられる土壌ができたことから、禁止令を解除したとしても、日本製/米国製のゲームに侵略されることはないと判断したのだろう。
上海で毎年夏に開催される中国最大のゲームイベント「Chinajoy」における、SCEIブースの存在感は、初期でこそ台風の目のようなブースであったが、年を重ねるごとに人気が減少していたのは肌で感じていた。
中国メーカー製のテレビが台頭し、スマートフォンが台頭したことで、他の新興国と比べて中国ではソニーのブランド力の神通力がなくなっていた。
SCEIは、製品を早くリリースしたかったようだが、中国政府による政策の解除待ちであった。そしてようやっと解除された。発売が遅れた点は、どうしようもなかったのである。
先行販売されていたXbox One
1年間で100万台の販売計画は固い!?
対してXbox Oneは、先立つこと2014年9月23日に発売された。500万台の在庫について販売許可を受け(500万台を販売する準備をし)、初日に予約販売を含め10万台の販売を記録した。
この数字はユーザーの手元へだけではなく、転売目的の(オンラインショップを含めての)ゲーム屋への出荷も含めてのものだ。
同社の目標販売台数は1年間で100万台。中国全土に単純に欲しいユーザーがいるだけでなく、ゲームショップがある100万都市が点在し、オンラインショップが多数あることを考えると、その数字は大言壮語とは言い切れない。
人民日報のウェブメディア「人民網」のゲームチャンネルは、Xbox OneとPS4の中国版が発売される前に、購入意志に関するアンケートをとっている。
6488人にアンケートしたもので、57.3%が「PS4を購入したい」と回答した一方で、「Xbox Oneを購入したい」とした人は10%に留まった。
また「PS Vitaを購入したい」という人は6%、「全部買いたい」と回答した人も6%いた。人民網によれば、「PlayStation 2」で(海賊版)ゲームを多数遊んだことが影響して、多くの人がPS4に関心がある、と分析している。
PS4発売日には、上海で購入者の列ができ、また初回販売記念版が売り切れるという、最高に近いスタートが切れた。
Xbox Oneが10万台であれば、それ以上の期待度があるPS4は、中小ショップの転売用の購入も含め、10万台以上の販売台数をすぐ記録するのではないだろうか。
(次ページに続く、「中国版PS4の本当の魅力は ソニーが本気で製品を投入したこと」)
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