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突然販売を開始するスタイルにも意味があるのだ!

新しいものを一番早く提供。サードウェーブのモットーにせまる。

2015年04月01日 08時00分更新

文● 貝塚/ASCII.jp編集部

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「タブレットではこんなことはしないだろう?」
という視点が大切だった

—— Windowsタブレットだけでなく、Androidタブレットも販売されていますよね。あれも随分と話題になりましたが、作り手の視点から見て、いかがでしょう?

 「当社では、Androidタブレットを非常にリーズナブルな価格で提供しています。アプリベンダーの方が自社製アプリをインストールして再販売されていたり、お客様へのサービスを提供するための端末として、店舗運営に使っていただくためにセットアップするシステムインテグレーターの方にも活用していただいています。ひとつ具体例を挙げると、NTT東日本さんが公式端末として採用してくださっているのですが、そこから、NTT東日本さんのグループ企業さんにも採用していただいたりと、少しずつ広がっていっているのを感じますね」

—— リリースされた当初は、どんなユーザーをターゲットにした、どんな位置づけの製品だったんですか?

 「色々と制限はあるけど、とにかく安い! というのが、やはり大きなウリでしたよね。ドスパラには、技術的に色々と詳しい方が大勢、ご来店くださるのですが、そういう方には色々と遊んでいただけたようです。ひとつは、『潔さ』を評価していただいたと思っています。『絶対必要』『なくてもいい』機能を見定めたことですね。

 タブレットって、元々はパソコンと比べて非力なガジェットだったと思うんです。PCと同じパフォーマンスを目指そうとすると、10万円、20万円という値段になってしまう。でも、『タブレットではこんなことはしないだろう?』と考えて、不要なものは省いていく。そういうスタイルで作り上げたことが評価されたんだと思います」

—— いわゆる低価格タブレットがたくさんある中で、御社のタブレットの強みはどこでしょう?

 「新しい技術やソフトウェア、ハードウェアが出てきたときって、すごく高いものはすぐに出るんですよ。でも、そこから、買いやすい価格のものはなかなか出てこない。それは、『これはなくしたらダメか?』『容量は128GBないとダメか?』と、皆が悩んでいる期間が長いということだと思うんです。

 ドスパラのAndroidタブレットはタイミング的には少し遅くなってしまった部分もありますが、皆が悩んでいる期間に『とにかく、すごく安い』と皆さんに感じてもらえる価格で出せたことが、まずよかったのかなと感じていますね」

—— タブレットに限らずのお話になるかと思いますが、スペックの落としどころはどうやって見つけていくのですか? 何パターンか試すとか……。

 「いいえ。何パターンということではないですね。たとえば『ブラウザーゲームが快適に動くこと』を指標にすると、メモリーはこれくらいでいい、解像度はこれくらいで十分、と決まっていきますよね。

 『高級なハードウェアで固めて、重いアプリケーションを動かせるようになりました。でも高いです』というのでは当たり前だと思います。それよりも、『したいことはきちんとできて、無駄がない方が嬉しいのではないか?』、そう仮定してバランスを取ろうとすると、スペックが定まってくるという感じです」

100Vじゃなくて、85Vでも起動するように

—— さらに具体的なパーツは、どのような基準で決めていくのでしょうか? コストや販売価格に大きく影響する部分かと思いますが。

 「そのときの目的に一番合うものを選びます。ドスパラは『安いパーツを使ってる』と言われることがありますが、安いから選んだわけではなくて、そのモデルに必要なスペックを満たしているから、選んだんです。

 たとえばグラフィックカードなら、ドスパラが販売店をやっているPalitを搭載しているモデルが多くあります。しかし、それはたくさん手に入るからPalitということはなくて、Palitのグラフィックカードが目的に合致しているから、選んでいるのです。

 なので、ほかのメーカーのグラフィックカードの方がよりよい検証結果になるのなら、そちらを選びます。検証の結果次第です」

—— 検証というと?

 「恒温槽を40℃に設定して、24時間連続稼動で検証し、検証基準を満たせるか、という基準ですね。その基準に合致するのが、たまたまASUSだったり、Palit、あるいはほかのメーカーの製品だったということなんです。

 あとは、長年使う中で不良品率が低いという基準もあります。そのデータと検証の結果を見比べて、該当モデルに必要なパーツを選定します。

 電源も同じように、独自の判断基準があるのですが、電源だけは『恒温槽を50℃に設定して、最大240時間止まらなければOK』としています。日本だと、50℃という室温はあり得ると思うんです(笑)」

—— 240時間! 長いテストですね……。

 「あと、日本の電源は100Vじゃないですか。それを変圧器で85Vに落として、それできちんとOSが立ち上がるか? という試験もしています。

 これは、以前はやっていなかったのですが、お客様の自宅では動かないのに、サポートにお持ちいただくと、きちんと動くという現象が発生したんです。で、実際にお客様のお宅にうかがったんですよ、電圧計を持って(笑)。そうしたら、やっぱり100V来ていなくて。

 隣でたくさん電気を使っていたりすると、コンセントには必ずしも100V来ないんです。ですので、我々の方でも85Vくらいの電源でもチェックしておかないといけないんじゃないかと思って、始めた検証ですね。サポートの部署と相談して、『そこは我々で担保しようよ』と、そういうことになりました。

 実際、お客様のお宅にうかがったこともあったんですよ。電圧計を持って(笑)。そしたら、やっぱり100V来ていないことが多かったですね」

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