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なぜ限界集落が「日本の希望」なのか 地方創生、ベンチャーが支える2020年:名古屋・福岡・北海道の注目企業──「全国StartupDay」「エッジキャンプ」とは

2015年01月03日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 ベンチャー、スタートアップと言われて、北米シリコンバレー、日本であればインターネット企業の宝庫である六本木、あるいはビットバレー渋谷を思い浮かべる時代は変わりはじめている。北は北海道から南は九州まで、全国のベンチャー企業がにわかに日本経済を盛り上げつつあるのだ。

 全国の有力なベンチャーが集まっている会合が「全国StartupDay」だ。主催は監査法人トーマツグループのトーマツベンチャーサポートと、インキュベーション組織のサムライインキュベート。

 同イベント運営役である佐藤史明氏は、とくに名古屋・福岡・北海道がユニークな展開を見せていたと話す。どんなベンチャー企業が、なぜ注目を集めているのか見ていきたい。また佐藤氏は過疎化で消失が危ぶまれている限界集落にこそ日本の希望があるというが、一体どういうことなのか。


名古屋・北海道・福岡のベンチャーに注目

 ベンチャー企業の中でも、起業数そのものが多いのはやはり東名阪。関西圏を見渡してみると、事業のユニークさでいえば名古屋が際立っていると佐藤氏は話す。注目企業はSORABITOカーリルの2社だ。

 SORABITOは、中古建設機械(建機)の売り手と買い手をつなぐマッチングサービス「ミカタ」(MIKATA)を運営する企業。流通総額は既に8000万円を超えている。カーリルは全国の公共図書館のおよそ93%を連動させた蔵書検索サービスだ。カーリルのマネタイズはこれからだが、注目度は抜群ということだ。

 北海道や福岡では、地元の需要をサービスに落とし込んだベンチャーが面白いと佐藤氏。北海道には寒冷な気候がデータセンターの冷却につながる理由からシステム開発会社も多く、IT技術と実業の組み合わせがサービスを生んでいる。注目企業は北海道のファームノート、福岡のテラスマイルだ。

 ファームノートは酪農家が種付け・出産・搾乳量などを書いていた紙のノートをスマートフォンアプリにした企業。将来は牛にとりつけて行動を管理するセンサーを開発することで世界展開を狙う。テラスマイルは農家の経営コンサルタント機能を担う経営分析ツール「テラスコープ」を開発している。

 もう1つユニークなのは岐阜だと佐藤氏。ソフトピアジャパンというIT拠点を設け、ベンチャー企業を含めてテナントの8割超が埋まっている。大都市の下請けを脱すべく行政が力を入れており、いわゆるハコモノ行政としては珍しい成功事例となっているという。注目企業はメディアデザインのGOCCOなど。


限界集落が日本を救う「エッジキャンプ」

 そうした全国のベンチャー企業をざっと見渡すと、2つのパターンがあると佐藤氏は言う。1つは世界展開を視野に入れ、流行りのテクノロジーで勝負しようとする企業。もう1つは地域が抱える課題を解決し、同じ課題を持った他の国への並行展開を狙う企業だ。最近は後者が目立ちはじめているという。

 佐藤氏が特に注目しているのは、高知県土佐山で開催している「エッジキャンプ」。人口約970人の過疎地域で起業家養成キャンプを開き、現地で人を雇える環境を整えていこうというものだ。まずは今年9月から来年3月までの半年間、土佐山で事業を練りあげる。家族で「限界集落」に移り住んだ若者もいるという。

 厚労省の推計によれば2020年から全都道府県で人口が減少しはじめ、2040年までには65歳以上が全人口の35%を占める超高齢化社会に突入するといわれている。2020年と言われると、都市部では東京オリンピックに浮かれるニュースしか聞かないが、高齢化率の高い地方にとっては厳しい時代の始まりだ。

 「日本は『課題先進国』で、『課題先進地域』が限界集落。世界に先んじてビジネスを立ち上げれば、先進国でも(後から日本のマネをする)タイムマシン経営をしようということもありうるのでは」(佐藤氏)

 中小企業庁によれば、地方の中小企業の業況は緩やかに回復している。だが一方、小規模事業者は回復水準がいまだ低く、若者の起業希望者も急減している。生態系の土台で地元経済に貢献してきた小規模事業者が生まれなくなれば、本来必要なサービスが受けられなくなるという懸念がある。

 そうした状況の中でも、地方に生まれ、地方を思い、やがて社会全体の豊かさを底上げするような志向のベンチャー企業がちらほら現れはじめている。日本の未来に小さな明かりが灯ったような心地がした。


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