このページの本文へ

ヤフー、検索結果の個人情報削除を巡って有識者会議を設置、新基準策定へ

2014年11月07日 19時10分更新

記事提供:SEMリサーチ

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

ヤフー株式会社は「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」を設置し、11月11日に第1回有識者会議を開催すると発表した。

検索結果とプライバシーに関する有識者会議

検索サービスは、膨大な情報のなかから人々が的確な情報を探し出すことを可能にしてきたが、その一方で自分にとって好ましくない情報を検索結果から削除したいという要望を持つ人も現れるようになった。これまで同社では、検索結果から削除してほしいとの要望に対して1つ1つその要請内容を慎重に検討したうえで、個別に対応をとってきた。しかしNHKの報道によると、犯罪にかかわるなど限られたケースを除き原則として応じてこなかったという。

検索サービスの中立性や信頼性の観点から、検索エンジン会社は、検索結果からあるウェブページを削除するという判断を慎重に行う必要がある。今回ヤフー社では、検索サービスに対する信頼と透明性を確保すること、同時に私たちの社会における「表現の自由」の「知る権利」とプライバシーという多様な価値をバランスよく反映するために、外部の専門家からを集めて「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」を開催する決定をしたという。

有識者会議の委員長には東京大学名誉教授で弁護士の内田貴氏が、委員には弁護士・元最高裁判所判事の泉徳治氏らが就任する。


忘れられる権利

今回のヤフーの取り組みは、「忘れられる権利」を巡り欧米で議論が活発になっていることが背景にある。

欧州連合(EU)司法裁判所は今年5月13日に、米Googleが検索結果として表示した情報がプライバシー侵害にあたるとして、リンクの削除を命じたことが大きな話題となった。「忘れられる権利」(Right to be forgotten)判決だ。

訴えを起こしていたスペイン人男性・コステハ・ゴンザレス氏は、1998年に自身の社会保障料債務の回収のための差押え手続について不動産競売が実施される旨の公告で、当時の地元新聞社の Webサイトに掲載されていた。しかし10年以上が経過した2010年時点でも男性の名前で検索すると当時の公告が検索結果に表示されていたために「現状とは異なる情報が掲載されている」としてスペインデータ保護局(AEPD)へ救済を求めていた。EU司法裁判所は判決で、検索エンジン運営会社がデータを最初に処理した時の目的や関連性、及び経過した時間と照らし合わせて当該データが適切性を貸すと判断される場合は、EUデータ保護指令に抵触する可能性があり、検索結果のからそのリンクや情報は消去されなければならないと述べている。つまり、例えWebページに掲載されている情報自体は真実であったとしても、検索エンジン運営会社はそのリンク削除の責任を負う場合があるということだ。

Google はこの判決を受けて、欧州諸国の利用者向けに、個人情報の削除を受け付けるウェブサイトを開設したが、フォーム公開直後から数時間で12,000件以上の削除申請が届いたという。2014年10月10日時点で同社は、144,954件の削除申請(497,695 URL)を受け、うち42%は削除に応じたという(58%は検索結果に残っている)。

法的な削除リクエスト(Legal Removal Requests)※ 欧州国内からアクセスすると、Search removal request under data protectin law in Europe(忘れられる権利申請フォーム) のページへ移動します
http://www.google.co.jp/gwt/n?u=https://support.google.com/legal/contact/lr_eudpa?product=websearch

When you make such a request, we will balance the privacy rights of the individual with the public's interest to know and the right to distribute information. When evaluating your request, we will look at whether the results include outdated information about you, as well as whether there's a public interest in the information -- for example, we may decline to remove certain information about financial scams, professional malpractice, criminal convictions, or public conduct of government officials.

「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」の設置について
http://pr.yahoo.co.jp/release/2014/11/07b/

検索結果とプライバシーに関する有識者会議
http://publicpolicy.yahoo.co.jp/2014/11/0717.html

ヤフー 個人情報削除を巡って新基準検討へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141107/t10013010851000.html

JUDGMENT OF THE COURT (Grand Chamber)
http://curia.europa.eu/juris/document/document_print.jsf?doclang=EN&docid=152065

Web Professionalトップへ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています