今回は、2011年以降のApp Storeセールスランキングをたどってみます。
激動のApp Storeセールスランキング
スマートフォンゲームに関わる仕事をしていると、App Storeランキングを凝視するのが生活の一部になります。普段は、自社タイトルの動向をみたり、新規競合タイトルの動向を見てやきもきするに終始しています。ふと落ち着いてランキング眺めてみると、アプリラインナップのあまりの変わり様にアゴが外れそうになる事があります。
そこで、2011年以降のApp Storeセールスランキングトップ100「カテゴリ別割合の変遷」で振り返ってみます。
カテゴリー分けについて
カテゴリーは下記のように分けました。
- 1.ポチポチゲーム
- カードゲームなどの、ボタンをポチポチタップしてゲームを進行し、ガチャでカードやアバターを手に入れパラメータを強化し、他ユーザーと戦うタイプのゲーム。長らくモバイルゲームの主流となっています。
■対象アプリ:mobage/GREEのガワネイティブアプリ、戦国炎舞、スクストなど - 2.ミドルコアゲーム
- ポチポチゲームの持ついわゆるソーシャルゲーム要素は踏襲しつつ、パズルやアクション要素などの+αのゲーム性を持ったゲームで、かつFtoP(Free to Play)モデル(ダウンロード無料・追加アイテム課金)のアプリを(他に適当な言葉が無かったので)「ミドルコア」で一括りにしています。MORPG(Multiplayer Online Role-Playing Game)、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)系のゲームもこちらに含めています。
■対象アプリ:パズドラ、ログレス、ブレフロなど - 3.その他ゲーム
- LINEゲームなどの得点を競うタイプのカジュアルゲームや、ハコニワ系のゲーム、乙女ゲームでFtoPモデルのアプリを一括りにしています。
■対象アプリ:LINEポコパン、ヘイ・デイ、ゴシップガールなど - 4.有料アプリ
- アプリをダウンロードした時点で課金されるアプリです。ゲーム、ツール、落としきりのコミック、教育系のアプリも全て一括りにしています。
■対象アプリ:マインクラフト、パチスロアプリなど - 5.その他アプリ
- その他の、DL無料アプリ内課金サービスを一括りにしています。LINEなどのコミュニケーションアプリ、コミックポータルアプリ、占いやクックパッドなどのツール系サービスです。
■対象アプリ:LINE漫画、YYC、LINE占いなど
という事で、こちらが結果です…
ご覧いただいていかがでしょうか? 「ふーん、そうなんだ」という方も居れば、1年ごとのあまりの変わり様に身に覚えがありすぎて、ちょっとした恐怖画像に見える人もおられるのではないでしょうか。App Storeの規模も毎年大きくなっているので単純比較はできませんが、黎明期とは言え、ビジネスモデルが数年でここまで変化する市場もなかなか無いと思います。
一言でまとめるのが難しいので、ポイントで振り返ってみます。
- 1.ポチポチゲーム
- 2011年時点ではmobage/GREEのガワネイティブが主流、2012年にはウェブビューのカードゲームが台頭しています。2013年に最盛期を迎えた後はトップ100位以内の割合は減ってきていますが、2014年以降も新規のポチポチゲームでヒットが出ている印象です。
- 2.ミドルコアゲーム
- 2012年のパズドラショック以降急激に増加。2013年以降、パズドラフォロワーでマネタイズに成功したアプリが増えてきています。2014年時点では、ログレスを始めとするPCゲームやMORPG、MMORPGを祖とするゲームも増えてきており、今後も徐々にランキングシェアを伸ばしていくと思われます。
- 3.その他ゲーム
- 毎年一定の割合を保っているようですが、2011年から2012年時点はスマーフ・ビレッジやゾンビカフェ、スヌーピーストリートなどの洋風ハコニワゲームが主流でした。2013年以降はLINEやコロプラなどの大量集客を得意とするゲームが主流になっています。比較的高ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー一人あたりの平均売上金額)が狙いにくいゲーム性のため、集客プラットフォームの動向に依存しやすい傾向にあると言えます。
- 4.有料アプリ
- 2011年時点では辞書アプリケーションやツールなど、さまざまなサービスがランクインしていましたが、多くのサービスは無料アプリに取って代わられ、現在はほとんど姿を消しています。2014年時点では、マインクラフトのみがランクインしている状況になっています。
- 5.その他アプリ
- 2011年はDL無料のコミックアプリが多数点在していましたが、徐々に姿を消しました。2014年時点では、LINEやクックパッドの他、YYCなどのいわゆる「出会い」をテーマにしたサービスが多くを占めている状況です。
最後に
いかがでしたでしょうか。もし興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、是非、App Annieなどのサービスで過去のランキングを振り返って頂けると良いと思います。
調査を進める過程で、過去のランキングを見ていると、今もなおランキング上位に君臨するサービスもあれば、提供を終了してしまったサービスもたくさんあります。今後サービスを提供していく上で、一つ一つを胸に止め、少しでも成功要因を積み上げ、少しでも失敗要因を排除していく事が重要と考えています。